桑田氏 体罰反対熱弁「声を大にして言いたいのは貴い命が失われた重大さ」

[ 2013年2月3日 09:17 ]

 大阪市立桜宮高校の体罰問題を受け、市教育委員会が2日、同市内で元巨人の桑田真澄氏(44)を招いて教職員向けの研修会を開いた。報道陣には非公開で、桑田氏は暴力指導は、戦前の軍隊教育を引きずっていると指摘。熱弁に耳を傾けた橋下徹市長は、「開眼させられた。暴力指導は兵隊養成だ。絶対根絶する」と述べた。

 講演後の会見で桑田氏は「スポーツマンシップとはどうあるべきかを話した」と説明。体罰について「ダメなものはダメで、論理なんていらない。仕返しをされない絶対服従の中で行われる。一番ひきょうだ」と力説した。

 米大リーグで選手だった06~08年に現地の学校を訪問したエピソードを披露。「怒鳴る、殴るは一切なかった。伸びやかに、ゆったりと野球をしていた。その中からメジャーリーガーが出る。体罰がなくても素晴らしい選手が育つという証だ」と撲滅を訴えた。

 さらに「体罰の痛みや恐怖心で根性が付いた実感は僕には全くない。助けられたことも一度もない」と強調。「声を大にして言いたいのは、(桜宮高で)一人の貴い命が失われたという重大さだ」と指摘した。

 市教委によると、体育科がある桜宮高と市立汎愛(はんあい)高の運動部顧問ら513人が出席。桑田氏は自身の体験談を交えて55分間話した後、教員らと約20分、質疑応答。橋下氏も議論に加わったという。

 会見が終わると、橋下氏が入室。桑田氏の顔を見つめ「素晴らしいお話、ありがとうございました」と握手。桑田氏も「また、何でも協力させてください」と笑顔で応じた。橋下氏は「またアドバイスなど、お願いできたら」と桑田氏の“再登板”を期待した。

 桜宮高だけではなく、ロンドン五輪代表を含む女子柔道の15人が、園田隆二監督(39)と男性コーチから暴力やパワハラを受けたと告発した問題も発覚。前日1日には、汎愛高の柔道部でも体罰問題が表面化した。橋下氏は、桑田氏が講演で「野球などスポーツ界に根強く残る暴力指導は、戦時中の軍隊教育を引きずっている」と指摘したことに触れ、「開眼させられた。暴力指導はまったく意味がない。兵隊養成ですよ」と述べた。最後は、「大阪全体で生徒や保護者と認識を共有したい」と語った。

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2013年2月3日のニュース