大谷 入寮いきなりビュン!“年上の同期”ビビらせた

[ 2013年1月10日 06:00 ]

入寮後、早速グラウンドに出てキャッチボールをする大谷

いきなり同期をビビらせた。日本ハムのドラフト1位・大谷翔平投手(18=花巻東)が9日、千葉県鎌ケ谷市の勇翔寮に入寮し、隣接する鎌ケ谷スタジアムで早速約1時間の練習。70球のキャッチボールでは勢いのある球を投げ込み、即戦力の呼び声も高い同3位・鍵谷陽平(22=中大)、同5位・新垣勇人(27=東芝)を驚かせた。11日か らの新人合同自主トレを前に高校生最速160キロ右腕が怪物の片りんをのぞかせた。

 一面雪景色だった花巻とは違う、芝生の感触。大谷は鋭く腕を振り切った。徐々に距離を延ばして約60メートルのキャッチボール。七、八分程度の力でも球に勢いがあり、乾いたグラブの音が響いた。

 「指に掛かった時はいい球もあったけど、抜けた球もあった。もうちょっと投げて調整していきたい。久しぶりに土の上で練習できて良かった」

 11日からの新人合同自主トレでプロとしての第一歩を踏む鎌ケ谷スタジアム。「契約のことで少し遅れたので、みんなに離されないようにやりたい」というはやる気持ちが即、行動に表れた。午前11時前に勇翔寮に入り、昼食、部屋の整理などを終えると、午後1時54分にグラウンドに現れた。ランニングに続き、70球のキャッチボール。同じ高卒で比較される05年のダルビッシュ(現レンジャーズ)や11年の斎藤も初日に体を動かすことはなかった。担当の大渕隆スカウトディレクターが「あんなに投げて大丈夫?」と心配顔で見守るほどだった。

 それでも始動した今月2日からブルペン投球を行っているだけあって、キャッチボール相手を務めた年上ルーキー2人も大谷の剛球に驚きを隠せなかった。中大の2年先輩である剛腕・沢村(巨人)をよく知る最速152キロ右腕の鍵谷は「まだ力を入れていないのにスピンの利いた、きれいな縦回転の球でびっくりした」。東芝で経験豊富な新人最年長27歳の右腕・新垣も「“おっ”と思った。伸びてくる球質で、今まで受けたことがない感じ」と目を丸くした。

 投手と野手の二刀流を目指す大谷は、この日は投手用グラブで練習したが外野用も持参。内野用も用具メーカー担当者に発注済みでグラブは「三刀流」で臨み、バットは長距離打者タイプの2種類を用意している。

 2日前に散髪し、入寮にあたっては「持己(じき)」と書かれた色紙を部屋に持ち込んだ。昨年を表す漢字「金」を揮毫(きごう)した清水寺の森清範貫主が記したもので、昨年12月28日に小沢昌記奥州市長からプレゼントされたものだ。意味は「己を高く持ち続ける」。まさに大谷にぴったりの言葉で「部屋の目につくところに置いておきます」と語った。

 「野球に集中できる環境が整っている。ここからスタートするので、しっかり磨いて、成長して、高めていきたい」

 常に周囲に大きなインパクトを与える、大谷の新たな伝説が幕を開けた。

 ▽最近の日本ハム大物新人の入寮日 05年のダルビッシュは報道陣50人、ファン200人が詰めかける中、母に付き添われて入寮。その後は球団関係者が送迎する車で買い物に出掛け、液晶テレビや空気清浄機を買い込んだ。翌日からグラウンドで体を動かした。08年の中田は寝坊対策として目覚まし時 計4個を持ち込んだ。11年の斎藤はパトカーも出動 する大フィーバーの中、早実、早大時代の思い出の品は一切持ち込まず 「裸一貫」で入寮した。

 ◆鍵谷 陽平(かぎや・ようへい)1990年(平2)9月23日、北海道生まれの22歳。北海から中大に進み、2年春からリーグ戦に登板。最速152キロの直球とスライダーが持ち味。先輩の巨人・沢村と同タイプで馬力がある。1メートル77、80キロ。右投げ右打ち。

 ◆新垣 勇人(あらかき・はやと)1985年(昭60)10月21日、神奈川県生まれの27歳。国士舘―横浜商大を経て東芝で5年プレー。最速149キロの本格派右腕でフォークも武器。昨季は公式戦50イニングで3四球と制球力も光る。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。
 

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