【野球のツボ】中島 メジャー成功のカギはただ1つ

[ 2012年12月20日 11:45 ]

アスレチックスと2年契約を結んだ中島。メジャー成功のカギは「打てるかどうか」

 2年越しの夢が実現した。西武から海外FA権を行使し、メジャーへの挑戦を目指した中島裕之内野手が、アスレチックスとの契約で合意した。中島は日本球界では一、二を争う右打者だと評価している。前回のWBCでも2番に起用し、ベンチの期待に応える働きをしてくれた。今回もメジャーとの話がまとまらなかったら、WBCの主力として考えていただけに、アスレチックス入りのニュースは複雑な思いで聞いた。

 中島のメジャーでの成功を祈りたいが、現実を見ると、日本の野手にとって、メジャーというハードルはとてつもなく高い。今オフも福留孝介、西岡剛が日本球界復帰を決断。過去の例でも2、3年で戻ってくるケースが多い。

 イチロー、松井秀喜が別格で、青木宣親が頑張ってはいるものの、メジャーの中で日本人野手に対する評価は、厳しいものがある。外電によると、中島の契約は2年5億5000万円。カブスと契約した藤川球児は2年7億8000万円。これだけを見ても投高打低は明らかだ。

 守備や走塁能力では、日本の選手はメジャーでも見劣りしない。ポイントは1点。打てるかどうか。これに尽きる。メジャーの世界では打てない選手にニーズはない。長いタフなシーズンの中で長打力を発揮するか、しっかりとアベレージを残すかが、何よりも問われる。毎日、毎日、結果を求められるプレッシャーは相当なものだ。中島の場合も、こうした競争に生き残るためにも、打席で結果を出す以外に道はないと思う。

 こうした視点から、来年のWBCを考えると、非力という日本人野手の弱点を、チームとしてどうカバーするかがポイントになってくる。個々のパワーではメジャーや韓国の選手にも劣る。勝つためには、四球を絡めて、バントやエンドランでチャンスを広げる野球しかない。高い意識で、こうしたプレーが出来る選手が、日本代表の最終メンバーに残るだろう。(WBCコーチ・高代延博)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務める。浩二ジャパンの頭脳。

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