マエケン 希望額と3000万円開き…球団は9回完投重視

[ 2012年12月20日 06:00 ]

2時間超の交渉の末、保留した広島・前田健

 最優秀防御率に輝いた広島・前田健太投手(24)が19日、マツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、プロ6年目で人生初保留。5000万円増となる年俸2億円を提示されたが、サインはできなかった。

 2億3000万円の希望額に届かなかった。理由は「完投」に対する認識の違い。球団は沢村賞を獲得した10年を基準として査定。登板試合、勝利数、貯金数はほぼ同じ。10年の6完投に対し、今季も5完投。ところが、延長戦突入を含めて9回を投げきった回数は10年の8試合に対し、今季は3試合となる。負け試合の8回完投があるためだが、球団はこの減少を指摘し、7200万円増だった10年のようなアップ提示とならなかった。

 「今までは言われた金額で(判を)押してきた。不満とかでなく、何も知らなさすぎたのかな」。リーグで唯一200投球回数も超え、球団記録となる防御率1・53。4月6日のDeNA戦(横浜)ではノーヒットノーランも達成した。そんなエースにとって、査定上「9回を投げること」が重要であるとは、意外な事実だった。

 完投数が増えなかったのは「継投策」といったチーム方針もある。「(完投は)僕が決められる範ちゅうではないので…」。2時間のロング交渉も結論を導き出せず、持ち越しとなった。25日からは早穂夫人と欧州へ新婚旅行に出掛けるため、球団としては06年の佐々岡以来、6年ぶりの越年も決定的となった。「査定の大事なポイントと、選手が思っている大事なポイントとの差がある。もう一回、整理して考える時間をつくりたかった」。感情のしこりはない。前田健は妥協点を探していく構えだ。

続きを表示

2012年12月20日のニュース