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阿部に突然の電話「ベンチに座っているだけでいいから…」

キューバ戦ではサポートに回った阿部(左)。右は山本監督

野球人 巨人・阿部(下)
 巨人・阿部にとっては完全に想定外の招集だった。11月16、18日に行われた侍ジャパンVSキューバ戦。若手中心の代表候補選手は10月初旬には各球団に通達されていた。突然の電話を今でも覚えている。

 日本シリーズ中のことだった。移動日を控えた阿部は札幌市内の知人を訪ね、別れのあいさつをした。実はその相手は、侍ジャパンの山本浩二監督と共通の知人だった。

 「1年間ありがとうございました、と伝えた。そうしたら“おまえなあ、浩二さんが言ってたぞ。ありがとうじゃねえんだよ。また来るんだよおまえは”って言われて」

 戸惑う阿部は何度も「別の仕事が入るかもしれないけど、今年はもう来ませんよ」と繰り返していると、突然電話が入った。声の主は山本監督だった。

 「本当にかかってきて。“ベンチに座っているだけでいいから、代表に来られるか?”と言われるから、ああっあっ…ハイ!って。もうそう答えちゃった」

 山本監督の中で阿部だけは特別な存在だった。右膝裏筋膜炎を抱え、プレーは現実的ではなかった。アジアシリーズから帰国した阿部は、1日遅れの11月14日に福岡合宿に合流。山本監督に「試合はどうする?」とあらためて問われ「いいです!!もういいです、野球は」と即答した。「“おまえ、早いな答えが”って笑っていましたが」と阿部。満足に動けない状態でも、チームの支柱としてそこにいてほしかった。指揮官の厚い信頼が伝わり、日の丸を中心で背負い抜く腹が据わった。

 実際にキューバ戦は打撃投手やノッカー役を買って出たり裏方に徹した。そして打撃指導で助言を送るなど、若手中心の他球団の選手ともたっぷりと時間をともにした。中大時代にシドニー五輪を経験するなど国際大会に育てられたという思いは強い。「だからこそ、あえて若手に行ってほしい。同じ力で中堅と若手がいたら、若手をというのはお願いしたい。それが一番日本球界のためになる」。若い芽を刺激するには、その舞台で勝ち続けるしかない。その重責が日本代表でも4番、主将、正捕手という一人3役を託される自身にかかるのも重々承知している。

 初の打撃タイトルである首位打者、打点王に加えシーズンMVP、そして現役選手では12年ぶりに正力松太郎賞まで受賞。各賞を総なめにした阿部は言った。「これだけの賞をいただき、来年はWBCのキャプテンもやらせていただく。野球人として、その名にふさわしい野球人になろうと思っています」。覚悟という2文字では表し切れない、強い思いがにじんでいた。

[ 2012年12月16日 10:56 ]

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