和田「光栄」イチローとの初対決へ4月実戦復帰目指す

[ 2012年12月16日 06:00 ]

野球教室に参加した子供らに投球指導する和田

 5月に左肘の腱移植手術を受け、米国1年目の今季はメジャーでの登板機会なしに終わったオリオールズ・和田毅投手(31)が15日、来年4月中の実戦復帰を目標に掲げた。福島県郡山市で東日本大震災の復興支援を目的とした野球教室を開いた同投手は、オ軍と同じア・リーグ東地区のヤンキースと再契約を結んだイチローとの初対戦を心待ち。イチローを制することで完全復活をアピールする。

 憧れ続けたメジャーの舞台で1球も投げることができずに終わった今季。2年契約の最終年となる来季は背水のシーズンとなるが、新たなモチベーションが加わった。

 「イチローさんと対戦することは凄く光栄なこと。必ず復帰するという強い目標を持ってやっている。どの選手というより、まずはメジャーに上がって、その舞台で戦える準備を整えたい」

 日本では対戦がなかった天才打者。イチローとの対戦は、自身の完全復活に向けた最高の試金石となる。

 「今年は本当に何の役にも立てなくて何も言えない」。キャンプ中に左肘を故障し、5月11日に手術。悔しさだけが残る移籍1年目だったが、リハビリは順調だ。9月下旬にキャッチボールを再開し、現在は60~70メートルの遠投もこなせるようになった。それだけに、「2月にブルペンに入るのが目標。そして4月には実戦形式に入っていければ」と青写真を描く。当初、実戦復帰は来年6月をメドとしていただけに、大幅な上方修正だ。

 離脱中も「実戦」を意識し続けた。今季のオ軍の試合は全てテレビ観戦。「(相手の)穴というかここが苦手とかいうのは知ることができた」。毎試合欠かさずチャートをつけ、来季対戦するであろう打者を分析した。それでも時にはふさぎこむこともあったが、「大輔(松坂=レッドソックスからFA)には精神的にしんどい時にメールや電話で救われた」。同学年の友、そして同じ腱移植手術から完全復活を目指す右腕の助言で勇気が湧いたという。

 来年1月から米フロリダ州サラソタの球団施設に場所を移し、リハビリを行う。「来年は勝負の年。しっかりとやっていきたい」。マウンドに立つ自身の姿、イチローと対峙(たいじ)するイメージはもう出来上がりつつある。

 【和田故障の経過】

 ▼2月26日 左肘の違和感を訴え、春季キャンプでのフリー打撃初登板を回避。3日間の投球禁止を命じられる。

 ▼4月3日 調整遅れのため、開幕直前に故障者リスト(DL)入り。

 ▼同24日 本拠地ボルティモアで検査の結果、キャンプ中に痛めた場所とは違う箇所に、左肘のじん帯損傷が判明。

 ▼5月2日 ロサンゼルスで再検査の結果、左肘のトミー・ジョン(腱移植)手術を受けることが決定。「全力でリハビリに取り組み、勝利に貢献できるような状態で戻りたい」とコメント。

 ▼同11日 ロサンゼルスの病院で、肩、肘の権威ルイス・ヨーカム医師の執刀による手術を受け無事成功。「なるべく早くチームのために投げられるようにしたい」と英語で談話を発表。

 ▼同23日 フロリダ州サラソタのキャンプ施設でリハビリを開始。

 ▼6月2日 フロリダ遠征中のチームに経過を報告。「来年5月か6月にメジャーで投げるのが理想」と見通しを語る。

 ▼9月下旬 60フィート(約18メートル)のキャッチボールを開始。

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