新井前選手会会長が最後の訴え プロアマ完全解禁を

[ 2012年12月7日 06:00 ]

嶋に選手会会長のバトンを渡す前に、プロアマ問題について意見を述べる新井

選手会定期大会

 労組・日本プロ野球選手会は6日、大阪市内のホテルで定期大会を開き、新井貴浩会長(35=阪神)に代わる8代目の新会長として、嶋基宏副会長(27=楽天)を選出した。また、プロ経験者による高校生の指導などの解禁に向けて交渉を進めることを決議。思うように進まないプロアマ問題に、新井前会長は退任あいさつの中で、日本高野連に対して不満をあらわにし、教員資格などの条件撤廃を求めた。

 最後の訴え。嶋新会長らと並んだ新井前会長は「最後にどうしてもお伝えしたいことがあります」と切り出した。就任時の最大の目標としながら、4年間の在任中に実現できなかったプロ経験者による高校球児への指導の解禁を強く求めた。

 「どうして野球を普通に教えることができないのか。純粋に野球がうまくなりたいという球児たちの思いを高野連の方々はどうお考えなのか。全面解禁を求めたい」

 選手会の主張は主に3点だ。(1)世界のスポーツでプロがアマに指導できないのは日本球界だけ(2)アマは教員でなくても指導できるのにプロを経ると教員資格が必要なのはおかしい(3)高校球児も現場の指導者も(プロの)指導を求めている――。

 一時断絶したプロとアマの交流は、03年から始まったシンポジウム「夢の向こうに」でプロが高校生を指導するなど徐々に垣根が取り除かれつつあるが、今も元プロ経験者が指導者になるには制限がある。選手会は今年2月、日本野球機構(NPB)、アマ側とともに「学生野球資格に関する協議会」を立ち上げ、11月12日の第4回には新井前会長も井端理事長(中日)とともに出席。研修を受けることで臨時コーチなど高校生の指導ができるように提案したが、その後も高野連からは明確な回答がなかった。

 新井前会長は「このままでは何も変わらない。一番かわいそうなのは球児です」と訴えた。選手会はNPBを通じて来年1月17日に予定する第5回の協議会で教員資格などの条件撤廃を要請し、高野連側には3月の理事会で結論を求める考え。嶋新会長へ引き継ぐが、新井前会長も今後もサポートを続けていく構えだ。

 ▽学生野球資格問題の経緯 元プロ選手の高校野球の指導者復帰が全面的に禁じられたのは、61年の柳川事件に端を発するプロ・アマの断絶。プロ側によるアマ選手引き抜き問題でアマ側が門戸を閉ざした。その後、高校野球では84年に「元プロ野球選手の高校教諭10年勤続者に対する特別措置」で指導者への道が再び開かれ、勤続年数は94年に5年、97年に2年まで短縮。この短縮措置で復帰者は増え、最近では元ダイエーの大越基氏が09年に早鞆(山口)の監督に就任し、今春のセンバツに出場した。

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2012年12月7日のニュース