三浦 金本引退試合で思い出のカーブ「いまだに覚えている」

[ 2012年12月4日 06:46 ]

金本の引退セレモニーで花束を渡すDeNA・三浦(右)

野球人 DeNA・三浦(上)

 DeNAの今季最終戦となった10月9日の阪神戦(甲子園)。金本の引退試合に、同じ91年ドラフトでプロ入りして長年のライバル関係にあった三浦が先発した。

 「引退試合でも、いつも通り全力で投げるのが礼儀。全ての球種を使って抑えにいく」。その言葉通り、初回1死一、二塁のピンチで迎えた第1打席はスライダー、直球で1ボール1ストライクとしフォークで一ゴロに抑えた。ただ、三浦にはどうしても投げたい球種があった。

 カーブだ。入団2年目の93年9月4日の広島戦(北九州)。プロ初勝利初完封が目前に迫った8回、金本にプロ1号ソロを右翼席に運ばれた。「初完封いけるぞって思っていたら、カーブをパコ~ンって打たれた。いまだに覚えているし、一番印象に残っている」。プロ初勝利とプロ1号。互いのメモリアル・デーから19年後の最終対決で、あのカーブをもう一度投げたかったのだ。

 「1打席目はそういう場面ではなかった」。2打席目は3回1死無走者で巡ってきた。その初球にカーブを投げた。「ちょっと力んだ」。ワンバウンドになったが、思いを込めた1球だった。この打席は2ボール2ストライクから、最後は高めの直球で空振り三振を奪った。1球のカーブを伏線に、金本と対戦した投手で断トツ54個目の奪三振である。

 5学年上の金本とじっくり話し込んだことはない。18・44メートルの空間での対戦こそが貴重な対話だった。「力勝負では勝てない。何を狙っているか考え、何とかして裏をかこうと必死。その読み合いが楽しかった」。当初は若手に登板機会を譲る予定だったが「金本さんの引退試合だったら投げたい」と直訴。首脳陣も新球団1年目に2桁勝利投手誕生を期待して、9勝の三浦を最終戦に送り出した。

 6回無死、金本の3打席目は4球連続の直球勝負で中前打を許した。7回2死一、三塁では、この日最速143キロの直球で捕飛。8回3失点で9敗目を喫したが、全てが意味のある投球で、通算290回にわたった金本との対戦を終えた。

 試合後の引退セレモニー。金本がDeNAナインに「中畑監督が一番目立っているようでは駄目」と辛口のエールを送った。「金本さんには感謝している。でも凄く悔しかった。まずは俺がもっと目立ってやろうと思った」。今オフ、トレードマークのリーゼントで決めて、テレビ番組に出演した回数はチームNo・1。そんな目立つ男の背中には、意外な秘密が隠されていた。

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2012年12月4日のニュース