球児 カブス最有力!手薄ブルペンが決断の決め手、守護神濃厚

[ 2012年12月2日 08:00 ]

09年、WBC2次ラウンドに向けた練習試合でカブスと対戦した藤川。来季はそのユニホームを着て戦うことになりそうだ

 大リーグ移籍を表明し、阪神から海外フリーエージェント(FA)宣言した藤川球児投手(32)の移籍先として、シカゴに本拠を置くカブスが最有力となったことが30日(日本時間1日)、分かった。すでに藤川サイドはカブスとエンゼルスの2球団に候補を絞っていたが、救援陣に不安を抱えたチーム事情などを考慮して判断したとみられる。交渉は大詰めに入っているもようで、藤川は一両日中にも渡米する。

 甲子園を沸かせた火の玉ストッパー・藤川の移籍先として、阪神同様に古い歴史を持つカブスが最有力候補となった。複数の大リーグ関係者が「(移籍先は)カブスに絞った可能性が高い」と明かした。契約交渉は最終局面を迎えており、藤川は一両日中に緊急渡米する。

 日本球界を代表する守護神の争奪戦は、10球団前後からスタートした。藤川自身は10月29日に渡米し、エンゼルスやダイヤモンドバックスなど5球団の施設を見学し、11月19日に帰国。その中から住環境やチームの投手事情などを考え、移籍先をカブスとエンゼルスの2球団に絞り込んでいた。しかし、エンゼルスが同28日にクローザーとして、フィリーズからFAとなったライアン・マドソン投手(32)を獲得。チーム事情などを考慮した結果、藤川は抑えを任される可能性があるカブスを第1候補として選んだもようだ。

 大リーグでも熱狂的なファンを持つカブスは最近では07、08年と2年連続で地区優勝したが、10年以降は低迷。今季も61勝101敗で6チーム中5位に沈んだ。特に不安定だったのが救援陣で、抑えのマーマルは制球面に難があり、わずか20セーブで防御率3・42の成績に終わった。来季の起用法は白紙で、ジェド・ホイヤーGMも「ブルペンを立て直すために多くの投手をチェックしている」とオフの懸案事項の一つに挙げ、抑え候補の一人として藤川をリストアップしていた。

 藤川は11月15日に本拠リグレー・フィールドを見学し、ホイヤーGMとも会談した。同GMは30日付の地元紙に藤川について言及。「交渉途中で何もコメントできない」と交渉の進展状況については明言を避けたが、「われわれはとても興味を持っている」と語った。

 リグレー・フィールドは、大リーグで2番目に古い1914年開場で、外野フェンスはツタで覆われている。藤川も帰国した際「シカゴ(カブス)なんか、甲子園に似た感じがして伝統もある」と好印象を口にしていた。また、シカゴは全米屈指の大都市で日本人居住者も多く、住環境の面でも不安はない。

 大リーグは3~6日(日本時間4~7日)にテネシー州ナッシュビルでウインターミーティングが行われ、移籍市場が一気に動きだす。それと時期を合わせて渡米する藤川。カブスとの交渉が最終段階を迎えていることは間違いない。

 ▽リグレー・フィールド 1914年開場。今年100周年を迎えたレッドソックスのフェンウェイ・パークに次いで古い。天然芝で、収容人員は4万1118人。ツタで覆われた外野フェンスが特徴。左中間、右中間が約112メートルと狭く、本塁打は比較的出やすい。「野球は太陽の下でやるものだ」というフィリップ・リグレー・オーナーの信念により、1988年までの75年間、ナイターが開催されなかった。今でもデーゲームが多い。

 ▽シカゴ・カブス 1871年創設。リーグ優勝16回、ワールドシリーズ制覇2回の古豪。1930年代に黄金期を迎えるが、リーグ優勝は45年を最後に遠ざかっている。90年代には通算609本塁打のサミー・ソーサが所属した。同じシカゴに本拠を置くホワイトソックスと比べ、ファンには富裕層が多いとされ、大リーグ30球団でも屈指の人気を誇る。今季は61勝101敗で、ナ・リーグ中地区5位。過去に所属した日本選手には、福留孝介(08~11年途中)がいる。今季就任したデール・スウェイム監督が来季も指揮を執る。

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2012年12月2日のニュース