阿部 究極の流し打ち!「侍打法」で3連覇だ

[ 2012年11月30日 06:00 ]

芸術的な流し打ちを見せる阿部

 侍打法で世界を一刀両断する。来年3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する巨人・阿部慎之助捕手(33)が29日、逆方向への打撃で3連覇することを宣言した。外角のストライクゾーンが広い国際大会を制するための、刀を抜くようなイメージの必殺打法。日本代表・山本浩二監督(66)からこの日、代表候補入りを伝えられた侍ジャパンの主将がバットで他国を叩っ斬る。

 携帯電話から、野太い声が聞こえてきた。「決まった中でおまえにトップで連絡させてもらったよ」。都内でのテレビ番組の収録開始前、午前10時すぎだった。携帯電話に残った山本監督からの着信履歴にコールバックすると、そう言われた。主将、4番、捕手としての期待の表れ。指揮官からの直々の「吉報」に責任の重さを再確認した。

 WBC3連覇に向け、阿部は秘策を惜しげもなく披露した。前回大会にも出場。その経験を踏まえて言った。「外のストライクゾーンが広いし、そこの対応を少しだけ変えないと」。ボール気味でも振らないとストライクにされる。そこで逆方向への打撃だ。アジア一となったアジアシリーズのパースとの初戦。7回無死一、三塁から代打で左前へ決勝打を放った。外角ボール気味のフォークを逆方向に軽打。国際大会仕様の打撃だった。「あれができれば(WBCでも)勝てると思う。反対方向に打つ技術は日本人はたぶん世界でもトップレベル」。刀を抜き、腕を伸ばして相手を斬るイメージ。侍打法である。4番が逆方向への打撃を率先すれば、チーム内の意識も徹底される。

 来年3月開催のWBCに向け、早期始動も決めた。例年、年末から始める自主トレを「優勝旅行から帰ってから」と約10日も早い12月19日に設定。来年1月5日から始めるグアム自主トレには「上げた状態で入っていきたい」と意気込んだ。山本監督からは、そのグアム自主トレの視察を伝えられた。阿部以外にも長野、坂本、内海、山口、沢村と巨人の代表候補6人が自主トレを行う南の島で指揮官を迎え、さながら「侍ジャパン1次合宿」が実現する。

 3年ぶりの日本一で多忙なオフ。阿部は「休んでいるのか、休んでいないのか分からないね」と苦笑いしたが、WBCの話題には真顔になる。「(走者が)いない時はメークチャンスだし、チャンスの時は積極的にいった方がいい。そのスタイルは変えずにいきたい」。今季は捕手歴代最高の打率・340で首位打者を獲得。伝家の宝刀「侍打法」を磨き上げ、世界に立ち向かう。

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2012年11月30日のニュース