中田は特別?浩二監督 代表候補一切漏らさず“公開アドバイス”

[ 2012年11月29日 06:00 ]

表彰式後に侍ジャパンの山本監督(右)から握手を求められた日本ハム・中田は、慌てて手をスーツで拭ってから握手する 

 来年3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表の山本浩二監督(66)とコーチ陣が28日、都内でスタッフ会議を開き、33人の代表候補選手を決めた。注目の日本ハム・中田翔内野手(23)もメンバー入り。同会議後の表彰イベントで同席した中田に、山本監督は「代表選手としての心得」を早くも示すなど、野手最年少となる89年生まれのスラッガーに大きな期待を寄せた。代表候補選手は来月4日に正式発表される。

 スタッフ会議後、山本監督は同じホテルで行われた「スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞 年間大賞」の表彰式にプレゼンターとして出席した。壇上には、パ・リーグの年間大賞に選ばれた中田。侍ジャパンの指揮官と若き侍の2ショットが実現した。

 侍ジャパンのメンバーについて、一切個人名を明らかにしなかった山本監督だが、同郷・広島の後輩、中田へのあふれる思いは「公開アドバイス」という形になって口をついた。明らかにWBCを意識したものだった。

 「初球から何でも振りにいくのではなく“1球勝負”という気持ちでいけばもっともっと伸びていく。打ちにいって(バットを)止める技術も必要だぞ」

 初球からフルスイングする中田のスタイルにさらなる進化を求めた山本監督。「とにかくボール球を振らないように」との金言を贈られた23歳の若き主砲は「レベルを上げていかないといけない。1日でも早く期待に応えられるような選手になりたい」と応えた。

 熱望していた侍ジャパン入りだった。日本シリーズで受けた死球の影響で左手甲を骨折。4番での起用が予定されていた今月16、18日のキューバとの国際強化試合を辞退した。その時点で代表入りは半ば諦めていた。この日の表彰式後も「悔しいけどアピールする場を失った時点で(代表入りが)あるとは思っていない。外野手もいっぱいいるし」と肩を落としていた。しかし「控えでも構わないから」と訴えていた熱い思いは、山本監督ら首脳陣に届いていた。

 今回選出されたメンバーで中田は野手最年少となる。外野だけでなく、一塁を守れるのもチーム編成上では大きな利点だ。山本監督は「あの振り切るスイングは驚異」と話す。DHでの起用が濃厚だが、スモール・ベースボールを掲げ、長距離砲が少ない侍ジャパンにとっては、そのパンチ力は大きな武器となる。

 中田は例年よりも早くトレーニングを再開。骨折した左手も完治し、バットも振り込んでいる。「一応(WBCに)合わせていきたいからね。しっかり体をつくり上げてキャンプに入りたい」。日本ハム・栗山監督が常々口にしてきた「日本を代表する4番」になるために――。若きスラッガーが大きな第一歩を踏み出す。

 ≪中田と日本代表≫

 ☆中学時代 広島鯉城シニアに所属していた国泰中時代、3年時に日本代表入り。米国遠征に参加し、4番で4本塁打。

 ☆ブーイング(セ・パ誕生60周年記念試合、09年11月22日)大学日本代表とU―26NPB選抜の対戦でNPB選抜の「8番・DH」で出場し3打数1安打。5回に左中間を破る安打を放つも二塁に走らず、ファンからブーイングを浴び「恥ずかしい」と猛省した。

 ☆最年少(震災復興支援試合、12年3月10日)初の「フル代表」に選出され、台湾代表との試合に途中出場。6回1死満塁から左翼線適時打を放つなど3打数2安打2打点と活躍。22歳はチーム最年少。背番号6は巨人・坂本が付けたため誕生日(4月22日)と同じ22番を背負った。

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2012年11月29日のニュース