ノムさん 「ON級」大谷に日本ハム入りのススメ「慌てることはない」

[ 2012年11月28日 06:00 ]

ヤクルト球団主催で選手、コーチ、スタッフら球団関係者に講演する野村克也氏

 元楽天監督の野村克也氏(77)が27日、都内で行われた古巣・ヤクルトの球団納会前に、講演会で講師役を務めた。同会後はメジャー挑戦を表明している花巻東の160キロ右腕、大谷翔平投手(18)についても言及。「ON級」と持ち上げながらも、まずはドラフトで1位指名された日本ハムで勉強してから大リーグを目指すことを勧めた。

 ヤクルトナインに2時間の講演を行った直後とは思えなかった。余力たっぷりの野村氏の勢いはとどまることはなかった。高校卒業後、日本球界を経由せずにメジャー挑戦を希望している大谷に狙いを定めた。

 「まだ18歳でしょ。慌てることはない。日本で本物の野球を経験してからメジャーに行った方がいい」

 日本ハムからドラフト1位指名を受けた160キロ右腕は、26日にヤクルト時代の教え子でもある栗山監督と直接対面したばかり。ところが、当の本人はメジャー挑戦の意志が固く、近日中にも米球界挑戦を再度表明する可能性が高い。

 日本野球は大リーグに負けてない。日本球界でプレーもせずに、米国の方がレベルが高いと決めつけて海を渡ろうとする若者が増えている。これに危機感を募らせる。ボソボソと話していた言葉は、いつしか熱を帯びていた。

 「僕の時はONがいた。本来なら(国内で)イチローや松井がそうならなければいけないのに…。そう、そう、大谷もそれくらいになれる。その意味でもアメリカにやっちゃいけない」

 野村氏は現役時代から「ON」と称された王貞治、長嶋茂雄の両雄に負けまいと踏ん張り、テスト生から日本一の捕手になった自負もある。同じように、パワーではメジャーリーガーに負けてもバント、盗塁といった小技、相手の弱点を突くような戦術は日本の方が上と信じている。事実、WBCでは2大会連続で日本が優勝を果たした。基礎を大事にする日本だからこそ大谷は「世界一の投手」となるための腕を磨くことができるというのだ。

 急きょ、出席することになった球団納会が控えていたため、野村氏のぼやきは強制終了となったが、日本球界の行く末を案ずる77歳の不安は尽きることなさそうだった。

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