中田 1号3ランも「この悔しさは絶対に忘れない」

[ 2012年11月4日 06:00 ]

<巨・日>優勝の瞬間を見つめる日本ハムの栗山監督(中)、中田(右から2人目)らナイン

日本シリーズ第6戦 日本ハム3-4巨人

(11月3日 東京D)
 唇をかみしめた日本ハム・中田の視線の先で原監督が宙を舞っていた。だが、あまりの悔しさに23歳の主砲の頭はその現実を受け入れることを拒んでいた。

 「胴上げを目に焼き付けた?いや。何も考えずにボーッとね。何も考えずに…」

 6回に沢村から左中間席に自身シリーズ初本塁打となる3ラン。劣勢だった試合を一気に振り出しに戻した。球団では前身の東映時代1962年の張本勲、岩下光一以来50年ぶり3人目となる23歳以下のシリーズ本塁打。4番としての意地は見せたが「結果的に負けてしまったので何とも言えない。負けたら終わりだったわけですから…」。自分が打っても、チームが敗れては何の意味もない。シーズン中から繰り返してきた主砲としての強い思いだった。

 栗山監督の意向もあって、極度の不振に陥っても4番に座り続けた。今シリーズ第2戦では左手甲に死球を受けて、グラブが手に入らないほど腫れたが、第3戦以降も志願の強行出場。4番として残り試合全てで安打を記録し、日本一への執念を見せた。「チームの勝敗を背負い込むのが4番。打てても打てなくても態度で示せ」と話す指揮官の言葉通り、チームの勝利のために1年間ひたすらバットを振り続けてきた。

 「入団したときに勘違いしてしまったから、こんなに時間がかかった。あれがなければもっと早く活躍できていた」。今では過去を冷静に振り返ることができる自分がいる。不安、自信、そして最後に我慢できないほどの悔しさ。全てを経験した中田の5年目のシーズンが終わった。

 「終わってみれば短かったかな…。この悔しさは絶対に忘れない」

 日本を代表する打者に成長するために。この敗戦を大きな糧にしなければならない。

 ≪4カード目の屈辱≫日本ハムは巨人とのシリーズで81、09年に続く敗退。同一カードで初対戦から3度以上連続で敗退したのは阪急が巨人に5度(67~69、71、72年)、南海が巨人に4度(51~53、55年)、巨人が西鉄に3度(56~58年)敗れたのに次ぎ、4カード目の屈辱となった。栗山監督は就任1年目の日本一はならず。シリーズで就任2年目以上の監督に挑んだ新人監督は10年西村監督(ロ)まで4人連続で日本一となっていたが、続くことはできなかった。

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2012年11月4日のニュース