20歳中村 兄貴分ダルばり7回0封「いい報告がしたい」

[ 2012年11月1日 06:00 ]

<日・巨>凄いぞ20歳対決!!6回2死二塁、高橋由を三振に斬り吠える日本ハム・中村は7回5安打無失点

日本シリーズ第4戦 日本ハム1―0巨人

(10月31日 札幌D)
 サヨナラ勝ちの瞬間、日本ハム・中村の端正なマスクが思わず崩れた。両手を突き上げ、チームメートと喜びを分かち合う。「最高ですね、サヨナラは!」。普段はシャイな3年目の20歳も、自然と声が上ずった。

 「大きい舞台とかになると余計なことを考えずに投げられるというか、そこまで緊張しなかった」。ポストシーズン初登板とは思えない堂々たる投球で、宮国との緊迫した投手戦を耐え抜いた。初回こそカーブを狙い打ちされ1死一、三塁のピンチを招いたが「鶴さん(鶴岡)のリード通り投げれば大丈夫」と落ち着きは失わなかった。4番の高橋由には内角を突いて遊飛に打ち取り、村田も初球の直球で一邪飛に仕留めた。

 2回以降、ストレートに切れと威力が増した。6回2死二塁でも高橋由を直球中心に攻めて空振り三振に封じた。捕手の鶴岡が「独特」と評する直球。球持ちが良く、長い腕が遅れて出てくるため、打者はタイミングが取りづらい。鶴岡は「あいつはスピードガンが良さを引き出している。打者は“137~138キロなら打てるだろう”と思ってくるけど、差し込まれてしまう」と続けた。7回までわずか77球で5安打無失点。「思い切っていった結果。これを忘れずにやっていきたい」と納得の表情だった。

 リーグ優勝が目前となった9月30日のソフトバンク戦で3回2失点で降板するなど、レギュラーシーズンの最後の3試合は白星がなかった。原因の一つはリズムの悪さだった。反省を生かして投球間隔を早めた。さらに自らのフォームを見直し「後ろ体重で投げてしまっていた。前でさばくように心掛けた」。前へ、前への意識で躍動感を取り戻した。

 昨オフは直談判してダルビッシュの自主トレに参加。CSファイナルS直前、札幌ドームを訪問した兄貴分と顔を合わせたがあいさつを交わした程度だった。「全部終わっていい報告がしたいですね」と控えめだった右腕だが、最高の報告に一歩近づいた。

 ▼日本ハム・吉井投手コーチ(中村について)初めての日本シリーズで「好きに暴れてこい」と送り出した。ブルペンを見ると「本当に野球選手か?」と思う球でも、マウンドに上がるとシャキっとなる。きょうは直球が良かった。よく頑張った。

 ◆中村 勝(なかむら・まさる)1991年(平3)12月11日、埼玉県生まれの20歳。春日部共栄では甲子園出場はなし。3年夏の埼玉大会初戦の小松原戦で9者連続奪三振をマークした。09年ドラフト1位で入団し、10年8月11日のロッテ戦(QVC)で初勝利。シーズン通算は、3年間で14試合3勝5敗、防御率2・78。1メートル84、79キロ。右投げ右打ち。

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