吉村禎章氏が大分析!ホールトンをKOしたのは中田

[ 2012年10月31日 08:00 ]

<日・巨>3回、打者ホフパワーのとき、交代を告げられ無念の表情で降板するホールトン

日本シリーズ第3戦 日本ハム7―3巨人

(10月30日 札幌D)
 ホールトンをKOしたのは中田だ!札幌ドームに場所を移し、日本ハムがようやく初勝利を挙げた第3戦。スポニチ本紙評論家の吉村禎章氏は、左手甲打撲の故障を押して強行出場した4番・中田の存在感が巨人先発のホールトン攻略につながったと指摘した。

 自分たちの庭に戻ってようやく1勝を挙げた日本ハム。中田の存在感の大きさを痛感した。第2戦で死球を受けた左手甲は万全じゃなかったはずだ。それでもレギュラーシーズン144試合一度も4番の座を明け渡すことのなかった主砲。ケガを押しての強行出場、フルスイングに大きな成長の跡を見た。

 中田が4番にいるかいないか。もし欠場ということになっていたら、シーズン中とは違う戦い方を強いられる。本拠地に戻ってきた日本ハムにとって、普段通りの野球をするために中田は絶対欠かせなかった。

 その存在の大きさは巨人バッテリーの攻め方が物語っている。2回の先頭打者。巨人バッテリーはチェンジアップを初球から3球続けた。シーズン中にはなかった配球である。直球を1球挟んでカーブ、スライダー。最後はフルカウントからど真ん中の直球で空振り三振に取るのだが、7球中5球が変化球。いかに中田を警戒して慎重になっていたかがわかる。

 中田は抑えたが、続く稲葉に先制弾を浴びる。このベテランは中田への配球を見て初球は変化球と確信したに違いない。狙いすましたようにスライダーを右中間へ。中田が誘発した一発と言っても大げさではない。この先制弾に続き小谷野は左翼へ大飛球。ホールトンはより慎重になってホフパワーをストレートで歩かせ、これが2点目につながる。3回にも糸井、中田の連続四球から崩れて5失点KO。その起点は中田の打席にあったように思う。

 巨人もただでは転ばなかった。0―5で迎えた5回無死一塁。寺内のカウントが2ボール2ストライクの場面で原監督は一塁走者の亀井を走らせた。点差を考えればじっくり走者をためたい。シーズン中だったらまず取らない作戦だが、まだイニングは残っていると判断し、三振ゲッツーのリスクを承知の上であえて試合を動かしにいったのだ。

 寺内は期待に応える中前打で一、三塁の形をつくった。続く長野の右狙いした結果の二ゴロ併殺打の間に1点を返した。2死無走者で反撃の流れは断たれたかに見えたが、松本哲が中前打で出塁。今度は坂本のカウントが1ボール1ストライクのところで走らせた。坂本がボールを見逃し、二盗成功。坂本の左前適時打で2点目を挙げ、3点差とした。走らせることによって相手に揺さぶりをかけ、ワンサイドのゲームを動かしたのである。

 その裏2死満塁の守りでセンターの松本哲が金子誠のライナーを地面すれすれで好捕する超美技も飛び出し、完敗は免れた。6、8回に暴投で追加点を与えたのはいただけないが、日本ハムを快勝ムードにしなかったことは、今後の戦いに向けて意味がある。

 巨人に不安があるとすれば、西村がまだ1試合も投げていないことだ。負け試合の中で1イニングくらい慣らし登板させるかと思ったが、最後まで出てこなかった。

 対する日本ハムは6回から宮西、石井、増井、武田久の必勝継投でリードを守った。増井は1点を失い、武田久も2安打を許したが、マウンドに立っている姿は凄く落ち着いて見えた。今後も勝ちパターンになれば力を発揮してくるだろう。

 札幌ドームでの残り2試合。第4戦は若い宮国、第5戦は故障上がりの杉内先発が予想される。勝ちパターンを逃げ切るにはリリーフが3枚は必要。山口、マシソンは登板してメドが立っているが、あと1枚の右腕。敵地のマウンドで投げておくタイミングがこの日あったように思う。

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2012年10月31日のニュース