相内 タイガーマスクになる!育った養護施設に恩返し誓う

[ 2012年10月31日 06:00 ]

西武2位指名のあいさつを受けた千葉国際・相内誠はマスコットを手に笑顔

 西武からドラフト2位で指名された相内誠投手(18=千葉国際)が30日、千葉県内の同校で鈴木葉留彦本部長(61)から指名あいさつを受けた。児童養護施設で育ち、苦難の道のりを経て、夢だったプロの門を叩く「房総のダルビッシュ」。プロ入り後は、西武ドームに子どもたちを招待するなど、人気漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人にも負けない慈善活動を行うつもりでいる。

【相内誠】

 1メートル85の長身に端正なマスク。指名あいさつを受けた相内は、緊張の面持ちで話した。

 「2位で指名されたけど“入ったら順位は関係ない”と言われ、その通りだと思った。しっかり数字を残したい」

 家庭の事情で中1から千葉県内の児童養護施設で育った。両親と暮らせないつらさ。唯一「それを忘れさせてくれたのが野球でした」という。施設の職員からは、投球練習で壊れた壁を修復してもらうなど、さまざまな面で支えてもらった。相内は必死に練習に取り組み、高校へ進学。今夏の千葉大会では、3回戦敗退も、上位指名を手にした。

 「プロの試合で活躍することが一番の恩返し」。そんな相内の境遇を聞いた渡辺監督は「タイガーマスクみたい。背負う物が大きい子はプロでも頑張れるよ」。タイガーマスクの主人公・伊達直人も児童養護施設で育ち、子供たちのヒーローになった。今度は相内自身が夢を与える番だ。

 1軍に上がり、活躍するようになれば施設の子供たちを西武ドームに招待。また、ランドセルなどの学用品を贈るなどのプランもある。「(何ができるか)これからもいろいろ考えていきたい。1軍に上がったら、そういうこともしていきたい」と恩返しの寄付を今から思い描いている。最速145キロの直球には威力があり、制球力も武器だ。それでも「僕が房総のダルビッシュとか呼ばれるのは申し訳ないような…」。虎の穴ならぬ「獅子の穴」から、球界のタイガーマスクが、マウンドというリングに上がる。
 
 ▽タイガーマスク 梶原一騎原作、辻なおき作画で、68~71年に週刊少年マガジン(講談社)などで連載され、69年にはアニメ化もされた。主人公の伊達直人は孤児院「ちびっこハウス」の出身。悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウトされ、プロレスラーとしてデビュー。途中から正統派レスラーとなった。実際のプロレスの世界でも、佐山聡がマスクをかぶった初代(新日本プロレス)ら、複数のタイガーマスクが活躍している。

 ≪10年から全国に「タイガーマスク」運動≫10年からは実際にタイガーマスクをまねた「寄付運動」が起きている。最初は同年12月25日、タイガーマスクの本名「伊達直人」を名乗る人物から、群馬県中央児童相談所にランドセル10個が送られた。これが大きな話題となり、その後もプラモデル、筆記用具などが全国各地の児童養護施設などへ匿名で寄贈された。中には「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈名義の寄付もあった。

続きを表示

2012年10月31日のニュース