4番・阿部 片手で先制打!09年日本Sから3戦連続勝利打点

[ 2012年10月28日 06:00 ]

<巨・日>4回無死二塁、右腕1本で中前適時打を放つ巨人・阿部

日本シリーズ第1戦 巨人8―1日本ハム

(10月27日 東京D)
 阿部から猛攻は始まった。0―0の4回無死二塁。吉川の外角低めのカーブに、バットを投げ出すようにして右手1本で食らいついた。二塁手の頭上を越す中前適時打。巨人は4番のバットが短期決戦で何よりも欲しい先制点をもぎ取った。

 「ボール球だったけどうまく引っかかってくれたね」。先発・内海の状態が良いことをミット越しに感じ、とにかくフォア・ザ・チームを心掛けた。右方向に打てば、凡打でも二塁走者が三塁へと進む。最悪でも進塁打。そこに引っ張るにはおあつらえ向きの115キロと緩い球が来た。「後ろにつなぐ意識で引っ張れる球を待っていた」。続く5回1死一、二塁では一塁線を鋭く破り適時二塁打。2安打2打点と主砲の働きを見せた。

 「僕が打てば勝てると信じている。そういう責任を持ち、やっていく」と強い覚悟で臨んだ。レギュラーシーズンで打率、打点の2冠を獲得しながら、CSでは6試合で2打点。両足首の状態は万全でなく、CSファイナルS後の24日は全体練習に参加せず、25日も一部別メニュー調整。それでも「痛いとかかゆいとか言ってられない。やるしかない」と自らに言い聞かせ、ここ数日の練習では中堅を中心に軽く打ち返す打撃に終始した。そしてこの日の試合前には白木のバット2本に、口に含んだ水を吐きかけ「清めておきました」と臨んだ決戦。有言実行の主将が活気づけ、チームは5回までに先発野手全員安打を記録した。

 3番坂本もCSでは打率・217、阿部と同様に2打点に終わったが、4回に先頭で吉川から左翼線二塁打。球宴でも本塁打を放った同じ88年生まれからの一撃が先制の起点となった。7回にも右中間二塁打を放ち、2二塁打と1四球で3得点を記録した。「内海さんがテンポ良く抑えてくれていたので、楽にさせてあげたかった」と振り返った。

 「まだまだ気は抜けない。しっかりやらないとね」とかぶとの緒を締め直した阿部。CSでは古城、寺内らの活躍で勝ち進みMVPは石井に譲ったが、ようやく主役の3、4番が脇役陣に追いついた。

 ≪シリーズ“慎”記録≫阿部(巨)が決勝点となる先制適時打を含む2安打2打点。阿部はチームが前回出場した09年第5戦、第6戦でも勝利打点を挙げており、3試合連続の勝利打点。今回同様にシリーズをまたぐケースを含め、チームの2試合連続勝利打点は昨年の小久保(ソ)まで19人いたが、3試合連続は阿部がシリーズ初となった。巨人は坂本、高橋由も2安打。クリーンアップ全員の複数安打は10年第2戦の中日以来で、巨人では68年第3戦(王、長嶋、柴田)以来44年ぶり。

 ≪V確率80%≫巨人が8―1で勝利。シリーズ初戦で8点以上奪って勝ったのは05年ロッテが阪神を10―1で下して以来7年ぶり9度目。巨人では58年西鉄9―2、66年南海12―5と破ったのに次いで46年ぶり3度目の好発進となった。

 過去62度の日本シリーズで先勝したチームは40度優勝しており、V確率は65%。巨人が先勝したケースでは過去15度のうち優勝は12度。V確率は80%にアップする。

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2012年10月28日のニュース