重圧に負けた…吉川 強気潜めボウカーに痛恨一発「申し訳ない」

[ 2012年10月28日 06:00 ]

<巨人・日本ハム>4回4失点で降板する日本ハム・吉川(手前)。栗山監督の表情もさえない

日本シリーズ第1戦 日本ハム1―8巨人

(10月27日 東京D)
 これがシリーズの怖さなのか。日本ハム・栗山監督も、エース吉川も痛切に感じていた。あの1球。4回2死一、二塁から右翼席中段へ消えていったボウカーの3ランに、大敗の反省が詰まっていた。

 「緊張して力みもあっただろう。こういうことがシリーズではある。だけど、日本中が注目していた試合で本当に申し訳ない。こういう試合は一番したくなかった」

 栗山監督はファンへの謝罪とともに、痛恨の1球をそう振り返った。要注意の4番・阿部に先制打された後、2死から矢野につながれ、8番・ボウカーへの初球。外角へ構えた捕手・鶴岡のミットとは逆に、130キロのスライダーが抜けて真ん中高めへ。鶴岡は「外す球じゃない。“腕を振ってここに投げろッ”という球。勝負でした」。それが腕を振れず、外国人選手にとってのホームランゾーンへ行った。

 「抜けてしまった。チームに迷惑を掛けて申し訳ない」。シーズン優勝の立役者には悔しさがにじみ出た。今季、栗山監督の「打たれていい。腕を振って納得いく球を投げろ」という言葉で覚醒した左腕。だが、エースとして臨む大舞台の重圧は想像以上だった。力んで頭が突っ込むから腕が振れない。栗山野球の申し子が4回4失点と輝きを失い、大敗した。

 打たれる直前、栗山監督は吉井投手コーチをマウンドへ行かせるか迷って思いとどまった。次打者は投手の内海。「分かってるだろう、と。あそこは俺の責任。俺自身がやり尽くせてない」。試合前に就任後初めて「勝とう」と呼び掛けた新人監督もまたシリーズの重圧を肌で感じていた。

 重視していた初戦を落として第2戦。「シーズンは追い込まれてもはね返してきた。こういう時のために勝(武田)がいる」。栗山監督はそう言って前を向いた。

 ▼日本ハム・吉井投手コーチ(吉川について)どこか消極的で、実力を出せないまま終わってしまった。でもいい経験になったと思う。

 ≪新人監督の黒星スタートは6人目≫新人監督のシリーズ采配は栗山監督で15人目になるが、初戦黒星スタートは04年落合監督(中)以来6人目。過去5人のシリーズ最終成績を見ると
年監督(球団)勝―敗 
60西本(大毎)0―4×
61川上(巨人)4―2V
81藤田(巨人)4―2V
02伊原(西武)0―4×
04落合(中日)3―4×
 優勝は2人だけ。なお、日本一の川上、藤田両監督は、いずれも2戦目を勝っており、栗山監督もまずはタイに戻したいところだ。

続きを表示

2012年10月28日のニュース