代打の代打がサヨナラ打!原巨人3連敗から逆王手

[ 2012年10月22日 06:00 ]

<巨・中>9回1死満塁、サヨナラの左前適時打を放った石井は原監督と抱きあって喜び合う

セ・リーグ クライマックスシリーズ 巨人3-2中日

(10月21日 東京D)
 逆王手だ!セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第5戦は21日、巨人が9回に劇的なサヨナラ勝ちで中日を撃破。原辰徳監督(54)の代打攻勢が見事に的中し、1死満塁から石井義人内野手(34)が左前打で決めた。3連敗で王手をかけられてからの2連勝で、アドバンテージ1勝を含めて3勝3敗の五分。22日に行われる運命の第6戦で勝つか引き分ければ、3年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。

 思い切り抱きしめた。一塁線上で原監督はサヨナラ打を放った石井とグータッチではなく、ガッチリと抱擁した。興奮したとびきりの笑みを浮かべたが、その目は充血。びしょ濡れになった石井との抱擁で自身のユニホームも濡れていた。「あいつ、凄い濡れてるんだな」とつぶやいてから、激戦を振り返った。

 「一人一人が集中力を持っていいプレーをしてくれました。きのうもそうですけどね。きのう、きょう、徐々にチームそのものが動き始めたというね。そういうところは感じています」

 同点で迎えた9回。CSでは3時間半ルールはなく、延長12回まで行われるが、この回で勝負をかけた。岩瀬に対し、まずは先頭のボウカーに代わる1人目の代打・矢野が中前打。無死一、二塁となったマシソンの打席では寺内を送り、犠打で走者を進める。その後、1死満塁の場面では、相手の投手交代を待たずに代打・谷をコール。中日が山井、浅尾のいずれかの右投手を送ってくるのは「想定していました」。右の代打の切り札だった谷をあえて「捨て駒」に使い、この回だけで4人目の代打となる石井を告げた。結果は左前へのサヨナラ打。迷いのない代打攻勢で劇的な勝利を呼び込んだ。

 アドバンテージがあるファイナルS。3連敗で一気に崖っ縁に立たされた。だが、原監督に焦りはなかった。「今年は全員で戦ってきた。戦い方は一緒だよ」と、3戦目までは大胆な采配は振らなかった。だが、後がなくなった第4戦は、1カ月近く戦列を離れていた小笠原を出場選手登録し、ナインに刺激を与えた。この日は9回に代走の鈴木を含めて5選手を投入。ベンチに残っていた野手は藤村と捕手の実松だけで、今シリーズ最多の野手14人を使い、3勝3敗のタイに戻した。

 原監督は薄いブルーのTシャツ姿で球場入りした。実は3連敗を喫した19日と同じ格好だった。験担ぎなどは関係なかった。「非常にプレッシャーのかかる場面で2試合戦って、こういう結果で決戦を迎えるわけですから。あしたは逆にのびのびと戦っていきたい」。セ・リーグで勝った方が日本シリーズ進出となる大一番は、94年の伝説の「10・8」以来となる。相手も同じ中日。引き分けでも突破という優位に立った原監督が最終決戦で宿敵に引導を渡す。

 ≪引き分けでも突破≫巨人は22日の試合に△の3勝3敗1分けでもシリーズ進出が決まる。これは、CSの規定により勝利数が同数で並んだ場合はレギュラーシーズン上位が勝者となるため。

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2012年10月22日のニュース