巨人・桃井社長 大谷のメジャー流出は“日本球界の危機”

[ 2012年10月22日 06:00 ]

 花巻東・大谷のメジャー挑戦について、巨人・桃井恒和球団社長(65)が21日、有望アマチュア選手の海外流出に強い危機感を募らせた。巨人はすでにドラフト会議で東海大・菅野智之投手(23)の1位指名を公表。ドラフト戦略には直接影響はないが、厳しい表情で語った。

 「一般論として非常に危機感を持ちますね。田沢君(レッドソックス)の時は社会人からということだったが、彼は高校生の上位候補ですし」

 国内球団がドラフトで指名した場合は来年3月末までの交渉権を得るが、大リーグとはアマチュア選手の獲得について明確な規定がない。日本に比べて、米球団のスカウト活動には制約も少なく、現状ではルールが明文化されていない。

 08年9月にはドラフト1位候補の新日本石油ENEOSの田沢純一が12球団に指名を断る文書を出した上でメジャー挑戦を表明。その後、レッドソックスと契約した。しかし、今回の大谷は高校生。今後も高校生のメジャー流出に拍車がかかることも予想されるだけに桃井社長は「日本プロ野球の空洞化につながる」と懸念を隠さなかった。

 現在は実行委員会の申し合わせ事項により、ドラフト対象選手が海外でプレーした後、日本でプレーするには復帰制限(大学、社会人は2年間、高校生は3年間、ドラフトにかけられない)がある。桃井社長は「現行の制度をもう一度、見直さないといけないとも思う。12球団がもう一度、話し合うきっかけにしないといけない」と早急な対応の必要性を強調した。

 ▽日本球界への復帰制限 NPBのドラフト指名を経ずに海外プロ球団でプレーした後、日本へ復帰するには、ドラフトで指名されることが条件だが、海外プロ球団との契約終了から3年間(大学、社会人は2年間)は指名を凍結される。08年に新日本石油ENEOSの田沢がレッドソックス入りした後、安易な海外挑戦の防止策として実行委員会で決まった。ただし野球協約にはない12球団での取り決めで、選手会は「独占禁止法に違反している」と撤廃を求めている。

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2012年10月22日のニュース