61打席ぶり安打の谷繁 “チャーシュー”ヒントに好リード

[ 2012年10月18日 06:00 ]

<巨・中>9回、中日・谷繁はポストシーズンで61打席ぶり安打となる左線適時二塁打を放ち、ベンチに向かって手を上げる

セ・リーグCSファイナルS第1戦 中日3―1巨人

(10月17日 東京D)
 ついに出た。待ちに待った1本。1点リードの9回1死一塁、中日・谷繁のバットから快音が響いた。山口に対し、ヒットエンドランのサインに応え、左翼線を破る二塁打。一塁走者が一気に生還し、貴重な追加点が入った。

 ポストシーズンは実に61打席ぶりの安打。10年のロッテとの日本シリーズ第7戦で第4打席に左前打して以来だ。ようやく「呪縛」から解き放たれた41歳は「食らい付いていった。みなさんからやっと解放されました」。連日のように無安打記録を取り上げられたことに軽口で返した。

 CS前には「そんなに気にしていない」と言ったが、内心は違った。神奈川県内で始動した年明けの自主トレでは本音を漏らしていた。「今年も日本シリーズに出場する。そして1打席でも早く無安打記録を終わらせたい。ここで話すことで“あいつ、タコだったんだ”と周りが思い出してもいい。とにかく早く途切れさせたい」。まずはポストシーズンの不名誉な記録を終わらせた。次はワースト記録(29打席=西鉄・仰木彬)にあと3と迫る日本シリーズで終止符を打つためにも、巨人を倒すしかない。

 「本職」のリードでも貢献した。若い投手陣を好リードし、強力打線を1点に封じ込めた。試合前、食堂で先発の2年目・大野と顔を合わせると「ドキドキしてるんか?」と声を掛けた。「ラーメンのチャーシューを残してたから、緊張してんだなと思った」。その予感通り、左腕は初回、先頭の長野をいきなり四球で歩かせるなど、1死一、二塁のピンチを招いたが、荒れ球を逆に有効に使い、巨人打線に的を絞らせなかった。

 中日は07年にCSが導入されて以降、6年連続で進出しているファイナルSで、全て初戦に勝利。これで巨人のアドバンテージ1勝を含めて五分としたが、高木監督は「勝ったというより、なんか勝っちゃいました。連勝すれば巨人が慌てる?慌てん、慌てん。あしたはガラッと変わるよ。見とってみい」と、この日も弱気発言だ。しかし、谷繁に1本が出ての勝利は大きい。それは指揮官が一番よく分かっている。

 ≪CS初戦は9勝1敗≫中日が初戦に勝利。これでCS初戦の通算成績は9勝1敗。ファイナルSに限ると、セでCSが始まった07年から6年連続6連勝となった。3回大島の中前打で先制したが、中日がCSファイナルSで先取点を奪うと10勝3敗。10年の(1)戦からは7連勝と先制すると取りこぼさない。

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2012年10月18日のニュース