ダル WBC出場は白紙…メジャー1年目終え体ボロボロ

[ 2012年10月13日 06:00 ]

帰国したレンジャーズ・ダルビッシュ

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が、来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場について、現時点で「白紙」とした上で、辞退する選択肢も持っていることが12日、分かった。ダルビッシュは同日、米テキサス州から成田着の航空機で帰国。無言を貫いたが、出場辞退となれば、大会3連覇に挑む侍ジャパンがエース不在の危機に立たされるだけに、ダルビッシュの今後の決断が注目される。

 メジャー1年目を終えたダルビッシュは、紺色のジャケットにジーンズ姿で成田空港の到着ロビーに現れたが、報道陣の問い掛けには無言を貫いた。

 16勝を挙げ、球宴にも選出された今季。帰国後の最大の注目は、侍ジャパンの山本浩二監督から熱いラブコールを受けているWBCへの出否だ。これまでダルビッシュは、態度を明確にしていない。しかし、親しい関係者は「今は体がボロボロの状態。球団とも何も話をしていない」と、現時点では全く白紙の状態であると強調。さらに、辞退の可能性について「ある」とも話した。

 体調面に大きな不安を抱えているのは事実だ。今季終盤は首痛を訴え、さらに右太腿にテーピングを施しての登板が続いた。本人は「投げている以上は大丈夫」と話しているが、満身創痍(そうい)に近い状態にあることは間違いない。また、第1回大会ではヤクルト・石井が左肩痛を発症し、それが引退への引き金となった。第2回大会ではレッドソックス・松坂が股関節痛を悪化させるなど、チームの開幕前に故障するリスクも伴う。

 レ軍はダルビッシュのWBCの出場について、ジョン・ダニエルズGMが「大会を支援する方針に変わりはない。選手の判断次第」とし、ロン・ワシントン監督も「彼が出場したいと言えば、意見を尊重したい」と容認の方針を打ち出している。ただ、来季はチームのエースとして期待されるダルビッシュには、球団創設以来初の世界一に貢献するという使命がある。開幕前の大事な時期に侍ジャパンに専念できるかどうかは極めて不透明と言わざるを得ない。

 第1回大会を辞退した松井秀喜(当時ヤンキース)は、前年の05年オフに結んだ4年総額5200万ドル(当時のレートで約62億円)の巨額契約を一つの理由に挙げた。ダルビッシュに対して、レ軍は入札金も含め約1億1000万ドル(約86億円)の投資をしている。ダルビッシュはワイルドカードゲームで敗戦投手となり、チームが地区シリーズ進出さえも逃したことに、強い責任感を感じている。日本とレンジャーズの期待のはざまに、ダルビッシュはいる。

 ▽ダルビッシュとWBC 日本ハム時代の09年第2回大会に出場。プロ5年目の22歳だった。レッドソックス・松坂大輔、楽天・岩隈久志(現マリナーズ)とともに先発の3本柱に指名され、3月5日の1次ラウンド初戦の中国戦(東京ドーム)では4回無失点で勝利投手。その後は不調で、2次ラウンド2回戦の韓国戦(ペトコ・パーク)は5回3失点で敗戦投手になると、準決勝、決勝では抑えに回った。3月24日の韓国との決勝戦(ドジャースタジアム)では9回に同点とされたが、延長10回にイチローの決勝打などで2点を勝ち越すと、その裏を抑えて胴上げ投手となった。

 【WBC出場で故障した主な投手】

 ☆石井弘寿(06年=ヤクルト)左の抑えとして期待も3月5日の1次リーグの韓国戦で左肩痛を発症。2次リーグ出場を辞退した。同シーズンは0勝0敗6Sに終わり、オフに左肩手術に踏み切ったが、最後まで復活できず11年に引退。

 ☆松坂大輔(09年=レッドソックス)WBC大会前年の08年は日本人最多18勝を挙げ防御率2.90。しかしWBC大会直前の自主トレ中に痛めた股関節痛が大会中に悪化。シーズンにも響き、同年はわずか12試合登板で4勝6敗、防御率5.76に終わる。

 ☆岩田稔(09年=阪神)左の中継ぎとして世界一に貢献。しかし3月17日の2次ラウンドの韓国戦登板後に左肩に違和感を訴える。帰国後の検査で「左肩肩峰下滑液胞炎(けんほうかかつえきほうえん)」と診断され、1軍復帰は6月10日。

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2012年10月13日のニュース