イチ 逆王手かけられた「あす勝たなきゃしょうがない」

[ 2012年10月13日 06:00 ]

<ヤンキース・オリオールズ>8回、ヤンキース・イチローは12打席ぶりの安打となる中前打を放つ

ア・リーグ地区シリーズ第4戦 ヤンキース1―2オリオールズ

(10月11日 ニューヨーク)
 崖っ縁に立たされた。ヤンキースは11日(日本時間12日)、オリオールズとの地区シリーズ第4戦で延長13回の末に敗れて、リーグ優勝決定シリーズ進出に「逆王手」をかけられた。イチロー外野手(38)は8回に12打席ぶりの安打を中前に放ったが、5打数1安打。運命の第5戦は12日(同13日午前6時7分開始)に行われる。
【試合結果】

 大飛球はイチローの頭上を越え、ワンバウンドで左翼フェンスに当たった。1―1の延長13回。1死三塁からオ軍ハーディに決勝二塁打を浴びた。前夜、イチローが「ゲームの世界」と評した劇的な延長サヨナラ勝ちから一転、4時間31分の死闘の末に敗れ、2勝2敗と逆王手をかけられた。

 「あす勝たなきゃしようがない。そういうことじゃないの」

 試合後、雌雄を決する最終戦に向けて、イチローは短い言葉に強い決意を込めた。

 この日は6回無死二塁でチーム唯一の得点につながる送りバントを決め、8回には先頭で12打席ぶりとなる中前打を放った。ただ、安打はこの1本だけ。地区シリーズに入って4試合で20打数4安打、打率・200。イチローと歩調を合わせるかのようにロドリゲス、カノら主砲も不振。主将ジーターは打撃好調なものの、第3戦で古傷の左足首を痛め、この日はDHでの出場となった。

 試合前。球団はジョー・ジラルディ監督の父・ジェリー氏が6日に81歳で他界していたことを発表した。悲しみの中での敗戦。指揮官は試合後「1本のヒットが勝敗を分ける。お互いの投手がいいから厳しい競り合いになる。これがプレーオフだ」と努めて明るく振る舞ったが、その姿が逆に痛々しかった。

 今シリーズ4試合のうち1点差が3試合。レギュラーシーズンと合わせてもオ軍との対戦成績は11勝11敗となった。接戦続きに「想像していた通りか」と聞かれたイチローは「想像までできないし、それをすることもおかしい」と答えた。マ軍時代の過去10年間、経験できなかった10月の戦い。もちろん、最大かつ最終目標はワールドチャンピオン。世界一への扉が閉ざされてしまうには、まだ早すぎる。

続きを表示

2012年10月13日のニュース