引退試合の小久保 真剣勝負の西に感謝「波瀾万丈な野球人生」

[ 2012年10月9日 06:00 ]

<ソ・オ>ソフトバンク・小久保(左)は王球団会長(右)から花束を贈られ号泣

パ・リーグ ソフトバンク0―3オリックス

(10月8日 ヤフーD)
 背番号と同じ9度、胴上げされたソフトバンク・小久保は視線の先に恩師をとらえた。ゆっくり歩み寄り、花束を受け取る。耳元で「まだ、人生は半分。これからもっともっと野球界のために頑張れ!」とささやかれた。もうこらえ切れない。世界の王の胸で嗚咽(おえつ)を漏らした。

 「2年目の王監督との出会い、これは僕のプロ野球人生にとって転機となりました。技術はもちろん、プロとしての考え方、生き方、厳しさ、心構え、すべて王監督から教わりました。今、僕の中にも、その血が流れています」

 胴上げ前の引退セレモニー。最も時間を割いたのは、くしくも王会長への感謝の言葉だった。追いかけるべき背中があったからこそ、通算2041安打、413本塁打の偉業を達成できた。

 ただ、最後におまけがついてきた。通算2057試合目で、オリックス・西に初のノーヒットノーランを食らった。「俺、持ってるよ。不謹慎やけど“ノーヒットノーランで終わったら、波瀾(はらん)万丈な野球人生や”と考えたらそうなった。引退試合に(ノーヒットノーランは)ありえんよ」と苦笑い。自身も3打数無安打に終わったが、それでも真剣勝負を挑んできた西には「きょうの対戦は本当にうれしかった」と感謝した。

 これで終わりではない。まだCS、日本シリーズと戦いの舞台は残されている。サプライズで4万人近いファンからハッピーバースデーの合唱で41歳を祝ってもらった主将はお返しに「もう一度、皆さんの前でこのユニホームでプレーすることを目標にクライマックスを戦ってきます」と誓った。座右の銘は「一瞬に生きる」。最後まで悔いのない一瞬を積み重ねていく。

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2012年10月9日のニュース