データで振り返るハムV ダルの穴埋めた吉川、強力中継ぎ、強肩中田

[ 2012年10月3日 11:02 ]

ナインにビールをかけられる日本ハム・吉川

 栗山新監督を迎えた日本ハムが3年ぶり6度目のリーグ制覇を飾った。ダルビッシュの大リーグ移籍で、苦戦が予想されたが、6年目の吉川が14勝と一本立ち。打線でも5年目の中田が4番定着と若手が抜てきに応えた。強力救援陣の奮闘も光った今季の戦いぶりをデータで振り返る。

 ☆チーム初の新人監督V 初采配の栗山監督がチームを優勝へと導いた。新人監督の優勝は08年西武の渡辺監督以来史上17人目だが、日本ハムでは前身の球団を含め初の快挙だ。また、プロ経験のある新監督のうち、コーチを務めずにいきなり優勝したのは、04年落合監督(中)以来史上2人目(兼任監督は除く)。現役時が外野手の監督では、43年中島監督(巨)以来69年ぶりの初年度Vとなった。もっとも、道のりは険しく、8月を過ぎてから3度も2位に転落。パで8月以降に3度以上首位を明け渡しての優勝は、01年の近鉄以来延べ6球団目になった。さらに対戦カード別成績を見ると2位西武に10勝12敗2分け、3位ソフトバンクに9勝12敗2分けとともに負け越し。2、3位に負け越しながらの優勝は93年のヤクルト以来史上5ケース目になった。

 ☆エース退団も 昨季は18勝のダルビッシュを筆頭にパ最多の4人の2桁勝利投手をそろえたが、ダルビッシュは退団。ケッペルも右肩痛で4月途中に離脱と先発陣の再編を余儀なくされた。その中で抜てきに応えたのが吉川だ。チームトップの14勝を挙げ、防御率はパ1位の1・71。特に8月は、いずれもパ1位の4勝、防御率0・94と活躍が光った。吉川以外にも、八木、多田野が各6勝など、昨季先発1勝以下の投手が計29勝。現有戦力を見直し、穴を埋めた。

 ☆中継ぎ陣が記録的奮闘 今季は130ホールドを挙げたが、05年のホールド導入後では、07年阪神の122を上回る新記録になった。救援勝利も昨季の8勝から18勝へと増加。ホールドと合わせたホールドポイント(以下HP)はパ新記録の148に上った。個人別では増井がパ最多の49HPで、宮西がこれに次ぐ41HPと両者の力投は特筆ものだった。また、抑えの武田久はパ最多の31セーブ。右膝痛で途中離脱もあったが、5月30日の復帰以降は防御率1・44と安定した内容で試合を締めた。

 ☆若き4番が攻守で存在感 打線で唯一、不動だったのは4番・中田。日本ハムで全試合先発4番出場を果たせば63年張本(当時東映)、83年柏原に次ぐ記録で、23歳は張本に並ぶ最年少になる。打率こそ・239と低かったが、23本塁打、74打点はチーム2冠。勝利打点17と殊勲安打29本がいずれもパ最多と、ここぞの場面で結果を残した。守っても19補殺はパの外野手で最も多く、東急時代の47年大下に並ぶ球団最多記録。うち、15補殺を1点差以内に記録と接戦時の好返球で数々のピンチを救った。70年以降、先発4番100試合以上の補殺王は、04年の金本(神)以来6人目。チームでは前出の47年大下に次ぎ65年ぶり2人目と攻守にわたる貢献度の高さは見逃せない。 (記録課・志賀 喜幸)

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