中田 全試合4番全う 前半不振乗り越えた「幸せな1年間」

[ 2012年10月3日 06:00 ]

斎藤(右)にビールをかけられる日本ハム・中田

 23歳の主砲の顔が思わずほころんだ。バックネット前の優勝会見。優勝の要因について「ここという後半で打った中田でしょ」と稲葉から名指しで褒められ照れた。日本ハム・中田は「凄くうれしいです。ここでやった西武戦でいい活躍したなと、自分でも思うぐらい」。2本塁打5打点でマジックを点灯させた9月28日の大一番を振り返り、シーズン中にはなかった自画自賛でスタンドを爆笑させた。

 「今思うと1年が早かったけど、幸せな1年間でした」。振り返ればつらく厳しいシーズンだった。栗山監督は就任と同時に「未来の日本球界のため」として4番・中田を貫く方針を決めた。「何があっても4番は外さない」の指揮官の言葉はうれしくもあり、プレッシャーにもなった。開幕から21打席連続無安打。6月下旬まで打率1割台に苦しんだ。

 それでも「(試合に)出られない人の悔しさは分かるつもり。中途半端なプレーをしたら出られない人に申し訳ない」と、腐ることなく全力プレーだけは尽くした。地道に感覚を磨いた成績は後半戦に表れた。優勝争いの佳境に入った9月にともに月間リーグトップの6本塁打、19打点。今季の勝利打点17はリーグトップと勝負どころで存在感を示した。

 今年1月に大阪桐蔭時代の同級生と結婚。札幌市内に新居を構えた。開幕当初の不振時は気持ちの切り替えができずに自宅でも落ち込んでいたが、夫人から「野球をやっていても楽しそうじゃないよ」と言われて吹っ切れた。食生活をはじめ「野球にしっかり打ち込める環境をつくってくれている。やらないかん、という気になりますね」と感謝の言葉を口にする。

 結婚を機に公私ともに成長した中田は、今春キャンプ中に「おかんに対してまだ親孝行ができているとは思っていない」と話していた。そして、その後に広島市内のマンション住まいだった母・香織さんに2階建ての一軒家をプレゼント。9月中旬に引っ越しも済んだ。兄・龍(りょう)さんと新居での生活をスタートさせている母に、今度は優勝という大きなプレゼントも渡して、最高の親孝行を果たした。

 リーグ優勝はまだ通過点。「ファイターズらしい野球をやれば、負けるはずがないと思っている」。日本一の4番になる日まで、中田のフルスイングは続く。

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2012年10月3日のニュース