イチつないだ1イニング4発9点!ヤ軍M2再点灯

[ 2012年10月3日 06:00 ]

<ヤンキース・レッドソックス>2回2死一、二塁、カノの適時二塁打で一塁から生還するヤンキース・イチロー

ア・リーグ ヤンキース10―2レッドソックス

(10月1日 ニューヨーク)
 ヤンキースが1日(日本時間2日)、レッドソックス戦で10―2と大勝し、2位オリオールズが敗れたため、地区優勝マジック「2」を再点灯させた。「2番・左翼」で出場したイチロー外野手(38)は2回に好機を広げる右前打。球団最多タイの1イニング4本塁打で9得点を奪う猛攻に貢献した。2日(同3日)に同戦で勝ち、オ軍がレイズに敗れれば2年連続の地区優勝が決まる。

 試合後のクラブハウスには、変わらず張りつめた空気が流れている。イチローは表情を崩さず「勝たなきゃいけない。どうしたって負けられないですからね」と振り返った。前日でプレーオフ進出を決めても、気を抜く様子はチーム内にない。

 それが試合でも表れていた。2回に今季最多の1イニング9得点。記録的な猛打のつなぎ役を果たした。4点先制し、なお1死一、二塁から右前打。満塁として後続のカノの二塁打、テシェイラの本塁打などを呼び込んだ。1イニング4本塁打は球団最多タイで3度目の快挙だ。

 前日のデーゲーム勝利後、エンゼルスがナイターで敗れてプレーオフ進出が決定。イチローにとってマリナーズ時代の01年以来11年ぶりのことだった。だが、その事実さえ前夜に知人のメールで知り、あえて「ありがとう」とは返さなかった。「それがこのチームにいる証ですかね」。あくまで優勝しか目指していないのが、ヤンキースの伝統であり誇りだ。「いいニュースとして捉えました。ただ、“だからといって”という感じにもなりますね。このチームはそこを見ていないですから」。だからこそ、イチローは笑みさえ浮かべなかった。

 ヤ軍移籍後の打率は・327と、好調をキープ。獲得の際に「君はわれわれを助けてくれる」と語りかけたというブライアン・キャッシュマンGMはこの日「この働きには驚いていない」と目を細めた。当初は下位打線を想定していたが、現在は1、2番を務める働き。「最悪なら下位打線だったが、最高なら上位打線ということ。彼はそれ(最高)を達成してくれている」と称えた。

 マジック2としてもチーム内の雰囲気は「現段階では、ないですね」とイチロー。まずは当面のゴールである地区優勝に集中し、3年ぶりの世界一への通過点を刻む。

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2012年10月3日のニュース