選手会 米国だけでなくNPBなどのビジネス感覚欠落に挑んだ

[ 2012年9月5日 08:47 ]

選手会がWBC参加正式表明

 WBC参加問題で、日本プロ野球選手会が戦いを挑んだ相手は、米国側だけではなかった。NPBは昨年度まで4期連続で赤字を計上している。12球団の分担金で補っているが、そもそも巨人、阪神、広島以外の全球団が赤字経営といわれる。近鉄とオリックスの球団合併が起こった04年の球界再編問題にさかのぼるまでもなく、経営面での球界の危機を選手は実感している。

 選手会の松原徹事務局長は「一球団の利益を追求する時代ではない。NPBにお金が集まる仕組みをつくるべき」と主張してきた。

 球界全体におけるビジネス感覚の欠落。今回のWBC不参加決議は、過去2度の大会で日本の利益を逃してきたNPBや12球団に対する当てつけの側面もあった。米国側にけんかを売る一方で、NPB側には「戦ってこい」とけしかけた。

 8月に渡米し、大会中の侍ジャパンのスポンサー権などを確保してきた島田利正国際関係委員長(日本ハム球団代表)の戦いは、選手会も認めた。新井会長はこの日、「NPBの中には真剣に行動してくれた人もいた」として、島田委員長の名前を挙げた。

 大会日程が発表される6日のタイムリミット直前の参加表明。選手会は不参加をちらつかせながら、NPBや12球団側と正面から渡り合ったことで、理想や危機感を共有できた。これを機に両者の相互理解を深めていくことが球界のさらなる発展につながる。

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2012年9月5日のニュース