球児 6年連続20セーブも「一度も優勝できていない」

[ 2012年8月30日 07:01 ]

<D・神>最後を締めた阪神・藤川(右)は和田監督に迎えられる

セ・リーグ 阪神2-1DeNA

(8月29日 横浜)
 阪神・藤川が苦しみながらも9回を締め、6年連続の20セーブを達成した。

 勝利の喜びや安ど感はみじんもない。バスまでの帰り道。藤川は終始、険しい表情のまま、足早に歩を進めた。

 「何もないです」。

 投球について問われても、コメントを残すことはなかった。セーブを挙げたとはいえ、内容が不本意だったのか。1点を守る作業は、予想以上に難航した。9回。打率1割台の先頭・梶谷に右翼線二塁打を浴びてピンチを招いた。代打・小池が送り1死三塁。ただ、ここからは守護神の真骨頂だった。代打・下園を4球連続の150キロ超え真っすぐで追い込むと、最後はフォークで空振り三振。続く荒波も最後は内角高めの150キロ真っすぐで空振り三振に封じ込めた。

 その一方で誇るべき勲章も手に入れた。これで今季のセーブ数が「20」に到達。抑えとなった07年から6年連続の20セーブで史上4人目の快挙だった。とはいえ、現状は個人記録を手放しで喜べないチーム状況がある。ここでも複雑な表情を見せたのはそのためだ。
 「クローザーになってから、一度も優勝できていないのでね…」

 新たに投手キャプテンを任されたこともあり、今季にかける意気込みは強かった。だからこそ、簡単に下を向くことはできない。「明日(30日)が最後なんで頑張るだけです」。苦しんだ長期ロードも30日が最終戦。甲子園で待ちわびる虎党のためにも、有終の美を飾りたい。

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2012年8月30日のニュース