由伸 300号!ON&原、松井に続いた巨人5人目

[ 2012年8月18日 06:00 ]

<巨・広>5回2死一塁、通算300号となる左越え2ランを放つ巨人・高橋由

セ・リーグ 巨人5-0広島

(8月17日 東京D)
 完璧に決めたかった。それが巨人・高橋由の本音だった。「理想はやっぱり引っ張ったり、センターの方にとかね。でも、あれもホームランですから」。5回2死一塁から放った左翼席最前列への通算300号となる8号2ラン。一塁まで全力疾走した打球に、ちょっぴり不満をにじませた。

 ただ、お立ち台では素直に喜びを口にした。「東京ドームのファンの前で達成できたことは本当にうれしい」。大歓声に感謝したのは苦しさを乗り越えての数字だったからだ。200号を放った06年4月4日のヤクルト戦(神宮)から300号までは628試合、約6年半もの月日を費やした。

 最大の危機は09年9月に受けた腰の手術。「こうして今、野球をしていることは想像できなかった」。手術後は一日も早い復帰のため、自らインターネットで日本中のリハビリ医を調べた。「今は本当に充実している」。そう言い切れるようになったのは、腰の復調に加えて夢を捨てる覚悟を決めたからだった。

 4年契約の最終年だった昨年2月。春季キャンプ中にこう漏らした。「2000安打はもう捨てている」。プロ1年目の98年、当時の長嶋監督から「天才」と称された打者。周囲の誰もが期待していた数字を捨てた。現在1619安打だが「大きな目標はなくなったので、日々、いい一日を送れればと思っている」と言い切った顔に偽りはなかった。

 「入団からお世話になってきた長嶋終身名誉監督の前で打てたこともうれしい」。観戦した恩師の目の前で放った節目の一発で、チームは連敗を止め、両リーグ60勝一番乗り。19日にも優勝マジックナンバー「33」が点灯する。「一日でも長く野球ができれば…。そのためにも先のことよりまずは目の前の試合を頑張りたい」。天才打者の集大成はまだまだ先だ。

 ≪歴代3位の高齢記録≫高橋由(巨)が17日の広島戦で、5回にバリントンから今季8号2ランを放ち通算300本塁打を達成した。プロ野球37人目。巨人では、王貞治の868本塁打を筆頭に5人目となった。初本塁打は98年4月7日の広島戦で山内から。37歳4カ月での達成は01年広沢克実(神)の39歳5カ月、08年山崎武司(楽=現中日)の39歳4カ月に次ぐ歴代3位の高齢記録。チームでは長嶋茂雄の33歳3カ月を更新する最年長到達になった。

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2012年8月18日のニュース