ミスター大興奮 セガサミー逆転満塁弾で3年ぶり白星

[ 2012年7月18日 06:00 ]

<セガサミー・日本通運>8回裏1死満塁、左越え逆転満塁本塁打を放った宮崎(中)は三走・佐藤(左・25番)、次打者の十九浦(右・3番)から祝福される

第83回都市対抗野球1回戦 セガサミー4-2日本通運

(7月17日 東京D)
 これぞメークドラマだ。長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(76)が、第1試合のセガサミー(東京都)―日本通運(さいたま市)戦を観戦した。試合前に07年以来5年ぶりにかつての本拠・東京ドームのグラウンドに立ち、セガサミーナインを激励すると、8回に宮崎敏郎内野手(23)が逆転満塁本塁打を放った。4―2で都市対抗3年ぶりの勝利。劇的な展開に長嶋氏も大興奮した。
【試合結果】

 思わず身を乗り出した。2点を追う8回1死満塁。宮崎のバットが初球の直球を捉えた。その瞬間、グラウンドレベルの関係者室で観戦していた長嶋氏は左翼席中段で弾んだ打球を確認し、「おおっ!」と叫んだ。まさにメークドラマ。本塁付近で抱き合うセガサミーナインを見守りながら、ミスターは顔を紅潮させ、何度もうなずいた。

 「あそこで満塁本塁打が出るとは。真ん中のちょっと高めの球をよく打ちました。こういうケースはそうそうありません」。セガサミーの都市対抗3年ぶり勝利を見届け、興奮冷めない様子で試合を振り返った。09年以来の都市対抗観戦。07年から男子ゴルフツアーの「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」の大会名誉会長を務め、同社の里見治(はじめ)会長と親交が深い縁もあり、東京ドームに足を運んだ。

 試合前には一塁側からグラウンドにも上がった。「芝がいいですからね。記憶がよみがえります。またここで野球をやりたいと思いますね」。東京ドームの芝を踏むのは07年6月8日の巨人―楽天戦前に行われた巨人の通算5000勝記念イベント以来。その試合も巨人が逆転勝利を飾った。

 打った宮崎も興奮を隠さない。「長嶋さんは凄いオーラがあって格好いいなと思いました。目の前で打てるなんて」。試合前に激励の握手を受けた西詰嘉明監督も「お礼ではないですけど、勝ててよかったです」と声を弾ませた。都市対抗に足を運ばせたのは野球への愛情からだ。近年のプロ野球界は観客動員数などが低迷。人気回復にはアマチュア球界からの盛り上がりが必要である。

 「社会人野球最高の大会。選手たちは日本の野球をもっと強くし、人気が出るようにしたいと思っているのではないかと思います。人気が出るようにいいプレーをしてほしい」。自らがグラウンドに立つことで注目が集まれば選手の士気も上がる。野球の伝道師。長嶋氏の変わらない姿だ。

 ◆宮崎 敏郎(みやざき・としろう)1988年(昭63)12月12日、佐賀県生まれの23歳。厳木(きゅうらぎ)―日本文理大。甲子園出場経験はなし。大学3年時に明治神宮大会8強。1メートル71、85キロ。右投げ右打ち。

 ☆長嶋氏の前回グラウンド登場 07年6月8日の楽天戦(東京ドーム)の試合前、巨人の通算5000勝達成記念「栄光のV9シリーズ」と銘打ってV9戦士が勢ぞろいし、始球式が行われた。堀内恒夫氏と吉田孝司氏のバッテリーらがそれぞれ守備位置に。長嶋氏は「4番、サード、長嶋」のアナウンスとともにスーツ姿で三塁の守備位置に向かい、04年3月に脳梗塞で倒れて以来初めて東京ドームのグラウンドに立ち、長嶋氏は「やっとね。三塁はやっぱり良い」と感慨深げに話した。この日は川上哲治元監督、すい臓がんを告白した土井正三氏(09年9月逝去、享年67)も主治医を伴い、車いす姿で二塁のポジションに就いた。試合は0―2の6回にホリンズが3ランを放ち、逆転勝ちした。

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