ドラ党「マジかよ」…“休養”阿部が逆転打!一転代打切り札に

[ 2012年7月15日 06:00 ]

<中・巨>9回1死一、三塁、代打・阿部は逆転の2点二塁打を放ちガッツポーズ

セ・リーグ 巨人2-1中日

(7月14日 ナゴヤD)
 やっぱり、あんたが大将だ!巨人は14日の中日戦で1点を追う9回1死一、三塁で阿部慎之助捕手(33)が代打で出場し、守護神の岩瀬仁紀投手(37)から逆転の左中間2点二塁打を放った。キャプテンのプロ12年目での初めての代打逆転打。2位・中日のナゴヤドームでの連勝を14で止め、ゲーム差を今季最大の4に広げた。15日の同カードで勝てば、前半戦首位ターンが決まる。

 ナゴヤドームがざわついた。1点を追う9回1死一、三塁で「代打・阿部」の場内アナウンス。「マジかよー」と内野スタンドの竜党から飛んだ叫びは、数分後に悲鳴とため息に変わった。取っておきの切り札として逆転の左中間2点二塁打。阿部は、ホッとしたような笑みをこぼした。

 「最悪でも外野フライという最低限の仕事をできるように心掛けていた。頭を越えるとは思わなかった。思ったよりも飛びましたね。ああいう結果になってうれしい」

 8回まで坂本の2安打に抑えられた打線がつくった最後の好機。阿部が狙っていたのは犠飛だけだった。「逆方向の方がフライが打ちやすいし、引っ張って外野フライを狙うと(外に逃げていく)スライダーが(視界から)消えちゃうから」。ポイントを体に近づけて、ボールのやや下、内側を打つことで打球が上がる確率は上がる。1ボール1ストライクの平行カウントから139キロの外寄りの直球を、遅れ気味で空振りしたが、これが犠飛を打つ意識の強さの証明だった。

 フルカウントからの7球目。外角高め、見逃せばボールのスライダーを叩いた。「(外角スライダーと内角シュート)半々でいって、高めが来たから飛びついた」。シュートにも備え、右腰はやや開きながら我慢して止まった。インパクトの瞬間に腰の動きを逆に戻すツイスト打法。阿部は高度な動きで宿敵の守護神を打ち砕いたのだ。

 休養で先発から外れたのは今季8度目。11日広島戦(岐阜)に続いて4度目の代打出場だった。代打での今季初安打は岩瀬からナゴヤドームで放った初の適時打。6回2死一、三塁、エドガーの打席では「もう少し我慢」と代打起用を自重した原監督はズバリの代打策に「この上ないシチュエーション。最後は大将がしっかり決めてくれました」と称えた。若大将から大将と言われるだけのことはある。6日の阪神戦(東京ドーム)では本気で怒った。6回、阪神・新井の一飛で交錯したエドガーを叱り飛ばした。「何で声を出さないんだって。チームの決まり。コーチにも言いました」。外国人選手でも容赦なし。勝つための約束事の大事さを鬼になってナインにも再確認させた。

 宿敵の中日に本拠での19試合ぶりの黒星を付けた。「なかなか勝つのは難しかった。毎試合こういう僅差のゲームになる。きょうは全員で勝てた。あしたも頑張る」。大将が先頭に立って貯金20と首位ターンを決める。

 ≪15日に○△で決定 前半戦首位ターン≫阿部(巨)が9回代打で逆転の左中間2点適時二塁打。自身代打でのV打は09年4月23日ヤクルト戦で9回1―1からサヨナラ右越え安打を放ったのに次いで2度目。代打逆転安打はプロ入り初めてだ。岩瀬(中)とは前日まで通算47打数8安打(打率・170)1本塁打、4打点。ナゴヤドームに限ると23打数3安打(・130)で打点は押し出し四球の1打点だけ。同球場で岩瀬から初の適時安打が貴重な勝利を呼び込んだ。これで巨人と中日の差は今季最大の4ゲームに開いた。巨人が15日に中日に勝つか、引き分けると10年以来の前半戦首位ターンが決まる。

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2012年7月15日のニュース