マー君臨!8回0封 佑に3連勝「2度あることは3度ある」

[ 2012年7月14日 06:00 ]

<楽・日>6回、陽(左)を一ゴロに打ち取りベースカバーに入った田中はガッツポーズを見せる

パ・リーグ 楽天5-1日本ハム

(7月13日 Kスタ宮城)
 またマー君が投げ勝った。楽天の田中将大投手(23)が、13日の日本ハム戦で8回無失点の好投。今季6勝目を挙げるとともに、高校時代のライバル・斎藤佑樹投手(24)とのプロ3度目の投げ合いも制した。6日の西武戦(西武ドーム)の先発を右脇腹痛のため回避した田中だが、故障を感じさせない投球を披露。斎藤とは今季2度目の「13日の金曜日」対決となったが、不吉なことは何一つ起きなかった。
【試合結果】

 避けては通れない質問に田中はリップサービスで答えた。「2度あることは3度ある、ということで」。過去2度の対戦で連勝している甲子園のライバル・斎藤との対決にまた勝った。前日には「急に対戦が決まったから盛り上がらないでしょ」と話していたが、観客は2人の対決を待っていた。そして88年会の旗振り役として完全に力が勝っていることをあらためて証明した。

 それよりも胸の内はナインに「恩返し」ができた安堵(あんど)感で満ちていた。「ファンの方にはご心配を掛け、チームや投手陣には多大な迷惑を掛けた。これだけ(調整の)時間をいただいたので、勝てたことで気持ち的には少し楽になりました」

 8回まで8安打を浴びたが、今季最多の13三振を奪うなど無失点。毎回のように走者を許したが得意のスプリットがさえ、5番・稲葉から3三振を奪って相手打線を分断した。8回無死一、二塁のピンチでは「ここで失点したら後味が悪くなる」とエンジンを再点火。糸井を低めのスプリットで狙い通りの遊ゴロ併殺に抑え、スコアボードに8つ目のゼロを刻んだ。

 5月下旬に腰痛から復帰し、6月は4戦3勝で月間MVPを獲得。だが、6日の西武戦(西武ドーム)は右脇腹痛で試合直前に登板を回避した。同い年の塩見が代役で先発して勝利。その後に10日のオリックス戦(Kスタ宮城)での復帰を目指したが、9日に首脳陣と話し合った結果、12日の同戦で復帰することが決まった。10日の先発は中4日の川井。同日、田中は35歳のベテラン左腕に「迷惑を掛けてすみません」と謝罪した。返ってきた言葉は「大丈夫。俺は何試合でも投げたいタイプ。気にするな」。温かい言葉に胸が熱くなった。

 だから迷惑を掛けた塩見、川井のためにも負けるわけにはいかなかった。田中の力投で貯金を3とし、2位・日本ハムに0・5ゲーム差まで迫った星野監督は「8回までゼロは認めてやらないとな」と田中の力投をねぎらった。

 田中自身4連勝となる6勝目で、防御率はリーグトップの1・63。点差が開き8回110球で降板したため、14日に右脇腹の痛みが再発しなければ、中4日でチーム前半戦最後となる18日の首位・ロッテ戦(QVCマリン)に先発する可能性もある。「行けと言われれば行きますよ」。エースの強い「恩返し」の思いが、チームを首位戦線へと押し上げる。

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