23歳誕生日の唐川 大人の8勝 最速136キロでも凡打の山

[ 2012年7月6日 06:00 ]

<ロ・楽>フォロースルーで頭がぶれないロッテ・唐川

パ・リーグ ロッテ2-1楽天

(7月5日 QVC)
 ロッテ・唐川侑己投手が5日、23歳の誕生日にチームメートの成瀬善久投手(26)に並ぶハーラートップの8勝目を挙げた。右肩痛から復帰2戦目となった楽天戦で7回を4安打、無四球無失点の好投。わずか2時間14分のスピード試合で、チームを3連勝に導いた。頭がぶれないフォームで、勝ち頭の座は譲らない。

 7回1死から空振り三振の枡田、見逃し三振に倒れた河田が首をひねりながらベンチに引き揚げる。唐川の最速はこの日も136キロ。それでも捉えられない。

 「球速表示は遅くても、きょう受けた中では唐川が一番速かった」

 そう話したのは捕手の里崎だ。8回に益田が145キロ、9回には内が149キロを計測したが、それは数字のマジックに過ぎないという。唐川自身も「直球の切れはありましたね。腕も振れていた」と振り返る。

 130キロ台前半の直球がなぜ打たれないのか。その秘密の一つが美しいフォームだ。踏み込んでから投げ終わるまで重心が左足の真上にあるので体がぶれない。頭も全く左右にぶれていない。同時に球持ちが良い分、ボールにしっかりとスピン(回転)が加わるため、打者にとっては体感スピードが速く感じるのだ。この日、奪った21アウト中、フライアウト10がそれを証明していた。楽天の田淵打撃コーチも「唐川は技を覚えた感じだな」と舌を巻いた。

 打てそうに見えるから打者も早打ちになる。左打者を8人並べた楽天打線に対し、唐川は初回を7球で切り抜けると、2回以降も「目指すは楽な投球」という自身の理想を体現するかのように凡打の山を築いた。7回を終えてわずか80球。今季初完封ペースだった。ただ、チームは10日から9連戦。同期間中に中5日で2度の登板が予定されるだけに、7回終了時に西本投手コーチに「判断は委ねます」と話し、最終的にこの回でマウンドを降りた。
 前日の同カードで成瀬が一足早く8勝目を挙げた。「成瀬さんが勝つとこっちもやる気が出る」。先輩に1日遅れでしっかりと肩を並べた。

 試合後のお立ち台は祝福ムード一色に包まれた。スタンドのファンが「誕生日おめでとう」のボードを揺らして好投を称えると、23歳になったばかりの右腕は「きょうは皆さん、僕のために集まってくれてありがとうございます」と深々と一礼した。

 「きょうの重きは完封より勝つことだった。勝ってよかった」。試合後、右腕は納得の表情を浮かべた。完封など、今の唐川ならいつでもできる。

  ▼唐川の父・義明さん(56) きょうは立ち上がりから低めに制球していたので安心して(千葉県成田市の自宅のテレビで)見ていました。チームのために9勝、10勝と積み重ねてほしいです。

 ≪同一球団から最多勝2人なるか≫唐川(ロ)が同僚の成瀬に並ぶパ最多の8勝目。ロッテの複数投手が7月以降に勝利部門でトップに並ぶのは、最近20年間で初めてだ。また、このまま、同じ球団の2人が前半戦をそろって最多勝で折り返すと、05年中日の岡本、川上(各9勝)以来。パでは99年西武の松坂、石井貴(各9勝)以来になる。なお、過去に同一球団の投手が最多勝を分け合ったのは4回あるが2人はどうか。

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2012年7月6日のニュース