由伸 びっくりV弾!首かしげ「入るとは思わなかった」

[ 2012年7月6日 06:00 ]

<D・巨>4回無死、巨人・高橋由は加賀美から本塁打を放つ

セ・リーグ 巨人6-3DeNA

(7月5日 横浜)
 何とも珍しい光景だった。ハマの夜空にアーチを描いた巨人の高橋由が、首をかしげながらホームインした。同点の4回。試合の流れを引き寄せる勝ち越しの一発は、6月9日の西武戦(東京ドーム)以来の6号。手に残る感触以上に打球が伸びた。

 「当たりは良かったけど、入るとは思わなかった。いいポイントで打てた。よく飛んでくれた」

 しっかりと踏み込んだ分、打球に力が伝わっていた。4回、先頭打者として加賀美の外角高めの141キロ直球を中堅左へ。「だいぶ(学年が)離れているからね」と苦笑いしたが、対戦を心待ちにしていた桐蔭学園の後輩からの一振り。オフのOB会ではあいさつも受けた右腕に対し、試合では格の違いを見せつけた。

 打率はリーグ規定打席到達者の中で最下位。左腕・小笠原が先発した6月30日の中日戦(東京ドーム)を欠場し、開幕からの連続出場も66試合で途切れていた。もがき苦しむ中で指揮官の助言があった。6月26日の広島戦(マツダ)の打撃練習中、原監督からオープンスタンスを勧められた。右足をわずか半歩後ろに引き、タイミングを変えて打球を待つ。新たな引き出しだった。徐々に体が慣れると、前夜も3回に2点適時打。きれいな当たりではなかったが「どんな形でもヒットを打てば気分も変わってくる」。わずかずつだが、着実に復調していた。

 発奮材料もある。ファン投票で8年ぶりの球宴出場。会見では「選んでもらって感謝しています」としながら「成績はいまいちですけど」と付け加えていた。投票数20万5741票という大きな数字。ファンの思いに報いたい。3回に左翼線の打球をスライディングキャッチしたのも、そんな心意気の表れだった。

 かつて巨人の背番号24を背負った敵将を歯ぎしりさせ、2位・中日とは2ゲーム差に広げた。チームはこれで22カード連続負け越しなしとなり、球宴前の勝ち越しターンを決めた。通算300本塁打までもあと2本。「そんなにポンポンとはいかないけど、1本ずつ」。ここぞの1本に、ベテランの価値がある。

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2012年7月6日のニュース