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ジョージア魂賞に杉内 完全試合よりもオール・フォア・ザ・ウイン

ジョージア魂賞を受賞した杉内

 勝利に最も貢献したプレーをした選手を表彰する「ジョージア魂賞」の今シーズン第5回(6月上期)受賞者は巨人の杉内に決まった。スポーツライターの二宮清純氏が書く、18年ぶりの大記録に目前まで迫った左腕の舞台裏とは。

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 77年の歴史を誇る日本プロ野球において、完全試合を達成したピッチャーは、わずか15人。今季、FA権を行使して福岡ソフトバンクから巨人に移籍した杉内俊哉は「レジェンド」の仲間入りに、あと1球と迫っていた。

 5月30日、東京ドーム。交流戦の対東北楽天戦。2対0と巨人リード。9回表2死、楽天27人目のバッターは右の代打・中島俊哉。フルカウントから杉内は抑制のきいたストレートをヒザ元に配した。わずかに外れ、18年ぶりの大記録は幻に終わった。

 球場がざわめきに包まれるなか、投手総合コーチの川口和久は足早にマウンドに向かい、杉内に告げた。「個人記録は置いといてチームの勝利を優先してくれ」。左腕は即座に「はい」と答えた。

 なぜ川口は、わざわざ念を押したのか。「昔(1989年8月)、巨人の斎藤雅樹がノーヒットノーランをやりかけたことがあったでしょう。記録まであと2人と迫ってヒットを許し、挙句、中日の落合(博満)さんにサヨナラ3ランを打たれた。悔いを引きずるとガタガタッといってしまうことがある。そこを警戒したんです」

 しかし、この夜の杉内はどこまでも冷静だった。28人目の聖澤諒を見逃し三振に仕留め、プロ野球史上75人目(完全試合を含む)のノーヒットノーランを達成した。

 感心したのは試合後の杉内のコメントだ。「勝つことが重要。(フルカウントから)無責任に真ん中には投げられなかった」。杉内の球威をもってすれば、中島に対し、ど真ん中のストレートでも抑えられたかもしれない。しかし杉内に最初からその選択肢はなかった。オール・フォア・ザ・ウイン(すべては勝利のために)――。その思いが31歳のサウスポーを貫いているのだ。

 目を細めて川口は言った。「27人目の中島に対し、杉内は6球を投げたけど1球も甘いボールはなかった。大記録よりもチームの勝利を優先した何よりの証拠ですよ」

 杉内はこうも語っている。「ノーヒットノーランは今日だけのこと。これで18番の重みを感じなくなるということはない。1年間活躍して認めてもらうことが大事」。背中のエースナンバーが輝いて見えた。

[ 2012年7月3日 09:50 ]

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