2500安打の金本「何本勝ちに貢献できるかが大事」

[ 2012年6月29日 06:00 ]

<中・神>7回2死一塁、通算2500本目の安打を放ち、二塁へと走る阪神・金本

セ・リーグ 阪神1-4中日

(6月28日 ナゴヤD)
 偉大な記録を刻む白球が、右翼線に落ちた。7回2死一塁で二塁打。金本は塁上で花束を受け取ると、ヘルメットを取って少しだけ頬を緩めた。敵地のファンからも降り注ぐ大歓声。史上7人目の通算2500安打は、まさに金字塔だった。

 「(記録は)足し算だから。長くやっていれば、いつかは到達する」

 笑顔はない。プロ21年目のベテランにとってはあくまで通過点。試合にも敗れたとあって、ことさら淡々と話した。「2500本打ったというより、その中で何本、勝ちに貢献できるか。そっちの方が大事」。勝利のために打つことこそが、鉄人の美学。それでも「通算で10人を切っている数字。カープ時代からのコーチを含め、歴代の監督、トレーナー、治療の先生方にこの場を借りてお礼を言いたい」と感謝を示した姿に、多くの人の支えで偉大な数字に届いた実感がこもった。

 交流戦後に打順は4番から5番に下がったが、これで6試合連続安打。加えて今月は記録ラッシュだ。3日の日本ハム戦(札幌ドーム)で通算1500打点をマークし、23日のDeNA戦(甲子園)では田淵幸一(楽天ヘッドコーチ)に並ぶ歴代10位の通算474本塁打を放った。そして史上最年長の44歳2カ月での、加えて大卒初の2500安打。長く年輪を刻んだ鉄人だからこそ、自然と大記録がついてくる。

 2年前に痛めた右肩の故障と闘いながら、44歳になってなお試合後にバットを振り込む。休日返上の練習もしばしばだ。22日のDeNA戦(甲子園)の試合前練習では右膝に違和感を覚えたが、首脳陣の心配をよそに金本は「大丈夫!」と試合出場を続けた。今季3人がクリアした2000安打達成者は41人いるが、そこから500本を上積みしたのは過去6人だけ。高いハードルをたゆまぬ鍛錬で越えた。

 9回1死一塁でも岩瀬から中前打。2501安打目を放ったが、自身が築いた好機はいずれも無得点に終わった。

 「本数よりも、内容です」。金本は最後にそう言った。チームのために――。鉄人のスタンスは、決して変わらない。

 ▼ソフトバンク・王貞治球団会長 凄いね。まだまだ安打数は伸びるんじゃない。やれるんだったらとことんやればいい。現役が一番なんだから。

 ▼山本浩二氏(元広島監督、野球解説者)2500安打おめでとう。入団当時を考えると、まさかここまでやってこられるとは思わなかった。本人の努力以外考えられないが、この努力ができたということが大したもの。凄いことだと思う。

 ▼楽天・星野監督 打者のかがみだよ。安打を打って本塁打打って、若い頃は盗塁もして連続出場もしている。今はちょっと痛かったら登録抹消という選手が多いから、たいしたものだよ。

 ▼楽天田淵ヘッドコーチ 無事これ名馬なり、だね。試合に出続けてこそ達成できる。彼は自己管理の意識が高い。みんなが休んでいる間も鍛えている。1本でも多く安打を打ってほしいね。

 ▼佐々岡真司氏(スポニチ本紙評論家、広島OB)冗談ばかり言い合っている仲ですが、(右肩を負傷した)2年前のオフに食事をした時、右手を(左手で)支えて食べている姿を見て涙が出そうになりました。もう(現役は)ダメかなと思いました。それが44歳になってこの記録ですから、本当に鉄人というか凄いヤツです。

 ▼中日・山崎(2500安打を達成した同学年の金本に)体が強いから。これで心置きなく引退できるでしょう。

 ▼日本ハム・中田(広島市内のジムで合同自主トレを敢行)本当に凄い記録だし、自分もそんな選手になりたいと思う。少しでも近づけるように頑張りたい。

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