松葉づえ姿で帰宅の黒田 勝利に徹した7回1安打投球

[ 2012年6月10日 06:00 ]

<ヤンキース・メッツ>6回2死まで無安打の好投を見せ5勝目を挙げたヤンキースの黒田

インターリーグ ヤンキース9―1メッツ

(6月8日 ニューヨーク)
 ヤンキースの黒田博樹投手(37)が8日(日本時間9日)、メッツとの「サブウエー・シリーズ」で主役になった。7回1安打無失点。6回2死にクインタニーヤに左中間二塁打で初安打を許すまでノーヒット投球を続けた黒田に、満員の4万8566人観衆は、立ち上がって拍手した。

 「7、8回なら違うボールを選択していたと思いますけど、無駄なランナーを出さずチームが勝つことが一番。自分の記録よりチームが勝つために、あのボール(ツーシーム)を選択した」

 6回2死まで許した走者は4回にジーターの失策で出た1人だけ。1日のカージナルス戦でノーヒットノーランを達成したメ軍先発サンタナとの投げ合いも、スライダー、シンカーを両コーナーに出し入れして圧倒した。唯一の安打は、フルカウントからストライクを取りにいった球を狙い打たれたもの。「このユニホームを着たものにしか分からないプレッシャーがある。松井に対してもリスペクトの気持ちがまた一段と高くなった」。ライバル・メッツとの伝統の一戦の重みを感じながら、勝利に徹した。

 ドジャース時代の08年以来4年ぶりの完封ペースだったが、7回2死、マーフィーの打球を左足首に受け、この回で降板した。幸い骨に異常はなかったが、松葉づえ姿で球場を後にした。「(過去に)頭に当たっているし、それに比べれば」。次回の登板への影響が懸念されるが悲そう感はなかった。

 過去7試合で1勝5敗と苦手にしていたメ軍を封じ込めて今季5勝目。日米通算150勝にも王手をかけた。「コンディションが上がってきたが、あんまりボールを信用してもすぐ裏切られてしまう。一試合一試合です」。経験に裏打ちされたブレない心も快投を呼んだ要因だった。

 ▼ヤ軍ジョー・ジラルディ監督 変化球がよく、直球との相乗効果が出ていた。期待通りの投球。これまでは大きな責任と重圧を感じていたが、リラックスして登板できるようになった。

 ≪1安打勝利は3度目≫黒田のメジャーでの1安打勝利は3度目。ドジャース1年目の08年7月7日のブレーブス戦は7回までパーフェクト。8回先頭のテシェイラに二塁打を許したが、結局1安打完封勝利を飾った。10年8月30日のフィリーズ戦では相手エースのハラデーと投げ合い、8回1死まで無安打投球。しかし、ビクトリノに右前打され、次打者を打ち取ったところで降板した。また、黒田は日米通算149勝目。メジャーでの通算46勝は、長谷川滋利(元マリナーズ)を抜いて日本人投手歴代単独4位となった。

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2012年6月10日のニュース