新人リレーで藤岡3勝目 ロッテルーキー56年ぶり

[ 2012年5月1日 06:00 ]

<ロ・ソ>ライトスタンドをバックに歓喜のジャンプをする左から益田、藤岡、中後

パ・リーグ ロッテ4-3ソフトバンク

(4月30日 QVC)
 ロッテの藤岡貴裕投手(22)が30日のソフトバンク戦で、今季3勝目を挙げた。6回3失点ながら新人が4月までに3勝を挙げるのは、56年の中西勝己(当時毎日)以来、球団史上56年ぶり。チームも貯金4で首位・日本ハムに2ゲーム差の2位で4月を終えた。この日、好救援で藤岡の勝利をアシストした中後悠平投手、益田直也投手(いずれも22)とともに、新人3投手がチームの躍進を支えている。

 初々しい笑顔が並ぶ中で、1人バツの悪そうな苦笑いを浮かべた。中後、益田と並んだ新人トリオのお立ち台。QVCマリンでロッテファンの大歓声が降り注ぐ中、藤岡の口から出たのは反省の弁ばかりだった。

 「ふがいない投球だった。3勝目は凄くうれしいけど、仲間が点を取ってくれたのにすぐ同点に追いつかれて、先頭にも四球を出して…ふがいなかったです」

 6回4安打3失点の粘投で本拠地初勝利。新人が4月までに3勝を挙げるのは、56年の中西勝己以来、球団では56年ぶりの快挙。それでも表情が浮かなかったのは、3点の援護をもらった直後の5回が許せなかったから。直球、スライダーが高く抜けて修正が利かない。連続四球で無死一、二塁とし、そこから甘い球をことごとく痛打され同点にされた。その裏の味方の援護で勝利投手となったが「大量得点の後の失点が多い。攻撃の間の肩のつくり方を考えないと。モヤモヤした3勝ですね」。即戦力として期待が大きいからこそ、西村監督も「藤岡はもう少し投げてほしかった。制球がバラバラだったね」と注文を出した。

 それでも、柔剛自在の投球は新人離れしていた。最速142キロの直球で内角を果敢に攻める。2回の江川の打席ではバットを2本折り、4回には初回に続き怪力ペーニャのバットをへし折った。一方で1点リードの6回2死一塁では、内角を意識させた後に真ん中低めに106キロのカーブを落とし、江川を空振り三振。力任せではない。奥行きの深さを感じさせる投球術だった。

 頼もしい同期と切磋琢磨(せっさたくま)できる環境が相乗効果を生み出している。藤岡の3勝目を好救援でアシストした中後、益田とは球場を離れたプライベートでも「おまえ、あの球は甘かったな」「少し上体が突っ込んでいたぞ」と遠慮なく指摘し合う。益田は「野球の話ばかりです。2人は厳しいですよ。僕もそうですけど。女の子の話は…しないです。今は野球しかないんで。3人で刺激し合えるのがいい」と話す。藤岡も「役割は違うけど、お互い支え合いながらできている」とこのときばかりは笑顔で声を弾ませた。

 チームは4月を終え貯金4の2位。首位・日本ハムに2差に迫った。すでに藤岡の存在は、先発の一角として欠かせない存在になっている。「今度は気持ちいいお立ち台にしたい。一つ一つ、自分が投げる試合は勝ちたい」。驚くのはまだ早い。黄金ルーキーが真価を発揮するのはこれからだ。

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