藤浪 2戦連続完投!打ってもバックスクリーン弾!

[ 2012年3月28日 06:00 ]

<九州学院・大阪桐蔭>7回、藤浪は中越えソロを放つ

センバツ2回戦 大阪桐蔭5-3九州学院

(3月27日 甲子園)
 藤浪は打っても凄い。1回戦1試合と2回戦2試合が行われた。第3試合で大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手(3年)が7回に公式戦1号となる中越え本塁打、さらに9回にも適時二塁打を放つなど九州学院(熊本)を相手に自らのバットで勝利を引き寄せた。投げては2試合連続の完投で、チームを5年ぶりの8強入りに導いた。第1試合では関東一(東京)の中村祐太投手(2年)が、第2試合では浦和学院(埼玉)の佐藤拓也投手(3年)がそれぞれ完封勝利を飾った。
【試合結果 組み合わせ】

 乾いた音が鳴り響いた瞬間、2万4000人の観衆がどよめいた。1点リードの7回1死。高々と舞い上がった藤浪の打球はバックスクリーン左に突き刺さる。右手でガッツポーズをつくると、満面の笑みでダイヤモンドを駆け抜けた。

 「びっくりした。自分は打撃に自信がないので…。ヒットを打つイメージすらなかった。直球一本に張っていて、たまたま当たりました。本当、ラッキー」

 最速150キロ右腕にとって記念すべき甲子園初安打が、自身の公式戦1号本塁打。「田端の代わりに打ちました、と言っておきます」とはにかんだ。

 主砲が抜けた穴を、自らのバットで埋めてみせた。1回戦・花巻東(岩手)戦で本塁打を放った4番・田端が、その後に死球を受けて右手首を骨折。主砲を欠いたチームは、この日は九州学院のエース大塚の前に、5回までわずか3安打と苦しんでいた。

 規格外の身体能力が、投球だけでなく打撃にも生きた。昨年末にスイングスピードを測った際には149キロを計測。田端を抑えてチーム内2位の数字を叩き出した。加えて、冬場の走り込みと筋力トレーニングによって下半身が強化され、昨秋は160キロを上げるのがやっとだったスクワットで210キロを持ち上げられるようになった。「打席でも腰を落として低く構えるようになった。当たりさえすれば飛ぶとは思ってました」。9回にもダメ押しの適時二塁打を放ち、8番打者が4番顔負けの仕事をした。

 「本業」でも踏ん張った。初回にいきなり150キロを計測したが、1回戦に続き先制を許す苦しい展開。それでも「自分が粘っていけば、逆転してくれると信じていた」と146球で完投。最後の打者を投飛に仕留めると、ウイニングボールをつかんで大きく両手を突き上げた。

 「田端が抜けて凄くショックでしたが、全員でカバーし、優勝目指して頑張りたい」。5年ぶりの8強入りで、30日の準々決勝は浦和学院(埼玉)と激突。「要所でいいところに制球できるよう調整していきたい」。その視界には「優勝」の2文字を捉えている。

 【甲子園150キロ&本塁打アラカルト】

 ▼松坂大輔(横浜、現レッドソックス) 98年夏の2回戦、鹿児島実の8回に杉内(現巨人)から左越え2ラン。投げては2回に151キロを計測し、5安打9奪三振で完封勝利。その勢いのまま決勝戦では京都成章相手に無安打無得点で春夏連覇を達成した。

 ▼辻内崇伸(大阪桐蔭、現巨人) 05年夏の1回戦、春日部共栄戦の初回に左腕最速となる156キロを計測。準決勝の駒大苫小牧戦の7回には田中(現楽天)から左中間席へ2ランを放ったが、延長10回に勝ち越しを許し決勝進出はならなかった。

 ▼大谷翔平(花巻東) 12年春の1回戦、大阪桐蔭戦の2回の第1打席で藤浪のスライダーを捉え、右翼席へ甲子園1号を放った。4回には150キロを計測するなど5回まで無失点も、6回以降につかまり9失点を喫し、初戦で敗退した。

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