マー君開幕ピンチ…背中の張り訴え急きょ降板

[ 2012年3月19日 06:00 ]

<楽・オ>1回でマウンドを降りた楽天・田中は試合途中で裏口からタクシーに乗って引き上げる

練習試合 楽天1―2オリックス

(3月18日 草薙)
 マー君が開幕ピンチ!楽天・田中将大投手(23)が18日、オリックスとの練習試合(草薙)で先発したが、初回の投球中に背中の張りを感じたため1回無失点で急きょ降板した。30日のロッテ戦(Kスタ宮城)での自身初となる開幕投手を控え、痛恨の負傷。本人は開幕戦登板に意欲を示したが、星野仙一監督(65)は回復状況によっては開幕戦登板を回避させる意向を示した。

 口を一文字に結び、足早に歩いた。初回のみで緊急降板した田中は、登板後に予定された会見を急きょ中止した。試合中にタクシーで静岡市内の宿舎へ一度戻り、次の遠征先である横浜へ新幹線で移動。徒歩で宿舎から静岡駅へ向かう道すがら、「大事を取って、周りとも話しての判断です」と言葉少なに話した。

 異変は2回のマウンドだった。エース右腕がベンチから出てこないまま投手交代が告げられた。開幕投手が本番まで12日と迫る中、背中の張りで途中交代。球場はざわめいた。熊原稔コンディショニングディレクターは「開幕前なので大事を取ってということ」と説明したが、エースの緊急降板は衝撃だ。

 球団関係者によると、初回の先頭・坂口への初球、141キロ直球を投げた時点で背中に張りを感じたという。それでも坂口をこの日最速の145キロで二ゴロで仕留めるなど12球で3者凡退に抑えた。そしてベンチに戻ってから、背中の張りを訴えて降板。星野監督は「1球目を投げたところでおかしくなったと聞いた。その時に言えば良かったのになあ。(チームに)悪いと思って3人投げちゃったんだろうな」とエースの責任感を思いやった。

 昨季は沢村賞を獲得。オフにはレンジャーズ・ダルビッシュと合同自主トレを行い、最終的には断念したが新フォームに取り組むなど意欲的だった。タレント・里田まいとの結婚も発表して順風満帆だったが、調整面は天候に泣かされた。今回も17日のソフトバンク戦(草薙)が雨天中止となりスライド登板を余儀なくされ、対外試合4試合中3試合が登板日変更。実戦を積む機会が減り、調整への影響が懸念されていた。プロ6年目で初の開幕投手は、球団創設8年目で初のKスタ宮城での開催。昨年東日本大震災で大打撃を受けた東北に希望の灯をともすためにも、田中は開幕投手に強い思いを抱いている。

 星野監督は開幕戦登板について「分からん。本人次第だけど、無理はさせない。大事に至ってはいかんから。それに合わせて焦ることはない」と状態によっては登板を回避させる意向を示した。田中はこの日病院には行かず、横浜市内の宿舎で静養。全ては回復次第だが、エースは開幕戦登板に向けて最善を尽くす。

 ≪田中の主な故障≫

 ☆腰の張り 08年3月1日のロッテとのオープン戦(長崎)で登板中に強い張りを訴える。翌日の練習ではランニングを中止した。

 ☆右肩痛 08年7月19日のソフトバンク戦(Kスタ宮城)で痛め、検査の結果「右肩の軽度の腱板損傷および関節唇の軽度の炎症」と診断された。

 ☆右肩の張り 09年に開幕から4試合連続完投勝利を収めたが、4月30日に右肩の張りを訴えて出場選手登録を抹消された。

 ☆右脇腹 10年8月29日の西武戦(西武ドーム)の試合中に張りを訴え6回で降板。検査の結果「右大胸筋部分断裂」で全治3週間と診断された。

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