「ここでできるとは」石巻工主将 宣誓テーマは「感謝」

[ 2012年3月19日 06:00 ]

元気よくグラウンドに飛び出す阿部翔人主将(手前)ら石巻工ナイン

 第84回選抜高校野球大会(21日開幕)に出場する石巻工(宮城)が18日、甲子園練習を行い、初めて聖地の土を踏みしめた。開会式で選手宣誓を行う阿部翔人主将(3年)は、選手全員の「感謝」の気持ちをテーマにした宣誓文が完成したことを明かした。この日で出場全32校が甲子園練習を終え、20日には開会式のリハーサルが行われる。

 石巻工ナインの元気な声が銀傘に響く。野球ができる喜び、感謝の気持ち。その思いを込めて全力で聖地を駆け回った。

 割り当てられた30分の時間内でシート打撃などをこなした阿部主将は「凄く特別な時間を過ごさせてもらった。震災当時はここで野球ができると思わなかった。野球の神様は本当にいるんだな」と感激。松本嘉次監督も「選手はいい顔をしてた。泣けてきました」と感無量の面持ちだった。

 震災でグラウンドが水没。部員の約7割が津波の被害を受けた。「当時はこのまま生きていけるのかという状況だった」というエース三浦は半袖のユニホームで投球練習。喜びを隠さずにはいられなかった。昨年5月にボールを寄付してくれた春日丘(大阪)は「東北復興の星」と書いた友情の横断幕を持って応援に駆けつけてくれた。

 宣誓文には「感謝」の気持ちを盛り込んだ。松本監督の発案で選手全員が宿舎のホワイトボードに思いを記し、それを阿部がまとめて17日のミーティングで披露。指揮官は「選手、地域の方々、そして支援してくださった全国の方の気持ちが入っている」と説明した。

 昨夏の宮城大会開会式の入場行進で使った「あきらめない街・石巻!その力に俺たちはなる!」の横断幕も、字体はそのまま、アルプス席に掲げられるサイズにリニューアルして持ち込む。初戦は大会2日目に神村学園(鹿児島)と激突。「石巻、宮城を代表した言葉も入れた」という阿部は、自らの言葉で甲子園から熱い東北魂を伝える。

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