中畑監督 見せた野球力 追い付かれても諦めずスクイズ

[ 2012年3月12日 06:00 ]

<D・西>本拠地初勝利に笑顔でナインを出迎えるDeNA・中畑監督

オープン戦 DeNA3-2西武

(3月11日 横浜)
 プロ野球は11日、オープン戦6試合を行い、午後2時46分前後には試合を一時中断して黙とうをささげた。DeNAは東日本大震災復興試合として、中畑清監督(58)が試合前にスピーチ。野球の持つ「力」を見せ続けることを約束した。その言葉通り、粘り強く戦い、同点の7回に黒羽根利規捕手(24)のスクイズで決勝点。3―2で西武に競り勝ち、6勝1敗で単独首位を守った。

 特別な日の、特別な試合だった。今季ホーム初戦と重なった3・11。中畑監督は試合前、西武・渡辺監督と並んで本塁上に設置されたマイクの前に立ち、こう語った。

 「最後の最後まで諦めない、本当に強いプレーを、被災者の皆さん、そして日本プロ野球ファンの皆さんに見ていただくことが、私たちが今できる最高の力、野球力だと思っています」

 その言葉通りの試合を展開した。同点に追いつかれた直後の7回無死一塁。代走・荒波が二盗を決めると小池の右飛で三塁へ。黒羽根は初球スクイズを投前に転がして決勝点を奪った。「せこいぜ野球が完成しつつあるな」と指揮官。3回は黒羽根がバスターエンドランで同点二塁打、4回は中村が一発と多彩な攻撃でスタンドを沸かせた。

 故郷・福島が被災し、より強く復興を願う。昨年末、本拠地初戦が3・11と関係者から聞いた中畑監督は「本当かよ…。何という巡り合わせなんだよ」と絶句。同時に自らの口からメッセージを発したいと思い立った。

 練習前の円陣。「特別な日なので、みんなでメッセージを送ろう」と語り、さらに続けた。「個人の悩みなんて小さい。みんな被災地で苦労されているのだから頑張るのは当たり前。そこからいかに前に進むかが大事。一丸となって取り組もう。できることは野球でお返しすることだ」。その言葉は選手に伝わった。

 昨季のオープン戦本拠地初戦(対ヤクルト)は同じ3・11。1年前、3756人だった観客は約3倍の1万633人に増えた。「明るい話題を提供するんだという使命感からユニホームを着て、一つもブレていない。これは奇跡かも。まだ強いチームじゃない。ベイスターズ頑張れと、逆に東北から後押しを受けている感じがする」。簡単ではない復興とチームの再建。中畑監督が背負っているものは大きい。

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