ダル居残り投球OKの異例調整 メジャー御法度も容認

[ 2012年3月3日 06:00 ]

練習後、大勢のファンにサインするレンジャーズ・ダルビッシュ

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が独自調整の特権を与えられた。1日(日本時間2日)の全体練習後、キャッチボール相手を座らせての16球を含め、約70球を投げ込んだ。投手の球数を練習から制限するメジャーにおいては異例の居残り投球。球団も本人の意向を優先し、容認する構えだ。2日(日本時間3日)の紅白戦は1イニングを投げる予定。注目の右腕が、いよいよ実戦デビューを果たす。

 練習が終わり、大半の選手が引き揚げ始めた時だった。ダルビッシュはグラブを手に取ると、渡部一(はじめ)通訳兼国際スカウトを相手にキャッチボールを開始した。「追加メニュー」は、球数管理に厳しいメジャーの方針には反する。本来なら強制終了されてもおかしくはない。

 だが、日本ハム時代に何度もダルビッシュを視察したジム・コルボーン環太平洋スカウト部長は「日本で連日投げ込む量を考えれば、こちらでいくら追加しようが全体的な量は確実に減る」と解説。そして「投げたくなった時は投げていい。投手コーチらも容認している」と明かした。

 この日、球団から与えられた投げるメニューは、5分前後のキャッチボールだけ。それでは足りず、居残り練習では、距離を約60メートルまで伸ばしながら、山なりのボールから矢のような送球も含め50球。最後は約20メートルの距離で渡部氏を座らせ、スライダーなど変化球を交えて16球、力強い球も投げ込んだ。

 1年目に球数制限の洗礼を浴びた日本人投手は多い。07年にはレッドソックスが松坂を常に監視し、キャッチボールの数までチェックした。同年のヤンキースも井川に厳しい制限を課した。だが、ダルビッシュはレンジャーズから日本での実績を認められ、方針に従うことで納得いく準備ができずに精神的ストレスをためることより、自由に調整する権利を与えられた形だ。

 紅白戦では1イニングを投げる予定。ロン・ワシントン監督も「あしたはビッグボーイが出てくるからな」と鼻息が荒かった。練習前には血液検査を受けるなど、今週は初ものが続くダルビッシュ。いざ次の舞台へ、心身ともに準備は整った。

 ▼松坂の1年目(07年)の調整制限 松坂はキャンプ中の3月上旬に「ブルペンでの投げ込みで肩を仕上げたい」と要望したが、首脳陣の答えは「捕手への立ち投げを含めて100球まで」。傾斜を使ったマウンドでの投球は厳格に制限された。さらに、シーズン中には、登板間のキャッチボール時に「きょうは終わり」と強制終了させられたこともあった。

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2012年3月3日のニュース