イチロー“3番意識”新打法で2012年初安打初打点

[ 2012年2月28日 06:00 ]

紅白戦で右前適時打を放つマリナーズのイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(38)が26日(日本時間27日)、今キャンプ2度目の紅白戦に「3番・右翼」で出場。3回の第2打席で、「2012年初安打」となる右前適時打を放った。3番を意識し「より強い打球を」と取り組む新打法は、キャンプ初日のすり足から右足を上げるスタイルへと変貌。安打製造機にポイントゲッターとしての勝負強さが兼備され、今季のイチローがますます楽しみになってきた。

 明らかに2日前の紅白戦とは違った。従来よりもスタンスを広げて、ノーステップに近いすり足でタイミングを取っていたのが、スタンスを若干、再び狭めて10センチほど右足を上げる。そのモデルチェンジした打法での「一発回答」だった。

 3回1死一、三塁。先発ローテーション候補の右腕バーベンの内角直球を捉え、痛烈なライナーで右前に運んだ。24日の紅白戦から通算4打席目で迎えた初の得点圏での打席。イチローが、2012年の初安打初打点を記録した。

 すぐさま、新たな取り組みへと移行できるのも、能力の高さがなせる業だろうか。ポイントゲッターとして期待される新打順の3番を想定し「より強い打球」を求めてスタートさせた新打法。ノーステップ打法で臨んだ24日の紅白戦で2打数無安打に終わると、翌25日のフリー打撃から右足を上げた。

 一見、大きな変化に映るが、より多くのパワーをボールに伝えたいという狙いは変わらないと言える。打法に関して、イチロー自身は詳細を語らないが、ここ2日間の変化はキャンプイン時に「ゲームでどうなるか分からない」と予言していた通りになった。代わりに、クリス・チェンブリス打撃コーチは「昨季よりもスタンスを広げているのは、(体の軸がぶれないように)頭を動かさないようにしたいからだと言っていた。足を上げるのはタイミングの取り方だけのこと。(打撃フォームを)変える時は、試合で投手と対峙(たいじ)しプレーしないとできない」と説明。エリク・ウェッジ監督も「いい打撃だった。ここまで、いい感じで来ている。毎年のことだけどね」と変わらぬ信頼を寄せる。

 それでも、イチローが試行錯誤を重ねながら、理想の「2012年型フォーム」を本格的に模索していくのはこれから。見た目は変わっても、その追求心は少しも変わらない。

続きを表示

この記事のフォト

2012年2月28日のニュース