ダル“クレージー”魔球 「簡単に打ち取れる」と日本では封印

[ 2012年2月27日 06:00 ]

スプリット解禁!!フリー打撃に登板したレンジャーズのダルビッシュ

 打席のスコールは、思わず目を丸くした。レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が25日(日本時間26日)、2度目のフリー打撃に登板。20歳の若手有望株に投じた、トータル15球目だ。

 視線から消え去るように、ボールが鋭く落ちる。当然のようにバットは空を切った。日本時代はほとんど封印していた必殺スプリット。スコールは「Crazy Action!(信じられない変化だ)」とあ然ぼう然だ。

 対戦した打者2人は、ともに一昨年のドラフト1巡目でレ軍に入団。全体15番目指名のスコールは、事前に球種を通達されながら12球のうち6球で空振りし、バットにかすりもしなかった。低めのスプリットを空振りした際は、慌てて捕手トレアルバにストライクかどうかを確認。その変化のすさまじさに「捕手も分からなかった。2人とも幻惑された」と苦笑いだ。結局計22球で、2人で外野に飛んだのは1球だけ。ドラフト全体49番目指名で23歳のオルトも「これほど球を動かす投手は初めて」と脱帽した。

 多彩な変化球を操るダルビッシュにとって、スプリットは近年控えていた球種だった。なぜか。直球と同様の軌道で急激に落ちるが「あまりにも簡単に打ち取れる球なので、面白くなくてやめた」からだ。日本球界で無敵となり、「モチベーションを保つのが難しかった。凄く勝負がしたかった」との思いから海を渡った。目指すは世界No・1の投手。だからこそクレージー・スプリットを本格解禁したのだ。

 5分間のマウンドではトータル22球。内外角への絶妙な制球にツーシーム、さらに「70マイル(約113キロ)に満たないスローカーブに凍り付いた」(スコール)と、豊富な攻め方も見せた。27日(同28日)はメジャーの打者と対戦予定だ。底なしの実力。まだまだ「クレージー」な驚きは続く。

 ◆ダルビッシュの球種 スライダーは球速の変化だけでなく、縦スラ、横スラと投げ分ける。カーブも球速は3段階、チェンジアップも2段階ある。スプリットもSFF(スプリット・フィンガード・ファストボール)と、球速を落としたフォークとの投げ分けが可能だ。細かく分類すれば15種類以上になる。

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2012年2月27日のニュース