中畑監督泣けるぜ!古巣巨人と「本当に決別する」1勝

[ 2012年2月26日 06:00 ]

<D・巨>オープン戦初戦に逆転勝ちし笑顔で高城(右)らナインを出迎えるDeNA・中畑監督

オープン戦 DeNA4―3巨人

(2月25日 那覇)
 プロ野球のオープン戦は25日、5試合が行われ、本格的に開幕した。新球団DeNAを率いる中畑清監督(58)は古巣・巨人と対決。テーマに掲げる機動力野球で立ち向かい、8回に初代主将の石川雄洋内野手(25)が勝ち越し打を放って、逆転勝ちした。試合前にはナインに巨人との決別を宣言。試合後にはオープン戦では異例のお立ち台に上がり、かつての盟友を倒しての初勝利を喜んだ。

 表情を緩めた中畑監督が思わず漏らした。「勝利監督インタビューができるとは」。新生DeNAの初戦。しかも相手は古巣・巨人。注目の高さから全国にテレビ中継された試合を逆転で制し、オープン戦では超異例のお立ち台での勝利監督インタビューを受けた。

 「勝ちたかった。勝ちたいと思って勝てた。大きな1勝。しかもジャイアンツから勝てたことが大きな喜び」

 ボウカーと村田に2被弾したが、機動力野球で追い上げ、1点を追う8回はミスに乗じて同点。直後に主将・石川が決勝の右前打を放った。8安打のうち単打が7本。前日に巨人攻略のキーワードを聞かれ「せこいぜ!だね」と答えた指揮官は「結構、せこかったでしょ」とおどけて笑った。

 宜野湾での練習前の円陣。初めて報道陣に近づかないよう通達が出された。中畑監督からナインに伝えておきたいことがあった。「58年生きてきて、巨人にお世話になったし、ここまでG一色だった。きょうの試合は、ただのオープン戦とは考えていない。本当にGと決別するために勝ちにいく。きょうは俺たちの開幕、新しいチームの開幕なんだ」。3分間続いた熱いメッセージ。最後は大声で「分かったか!!」とナインを鼓舞した。

 原監督とは試合前は笑顔で握手を交わしたが、心の奥底には強いライバル意識がある。現役時代はエリートコースを歩んできた5歳年下の後輩に三塁の定位置を奪われた。監督としても、向こうが先輩。昨年12月9日に監督就任すると、すぐに電話を入れた。「一緒に盛り上げていこうな」。そのためにも、まずは監督が巨人への思いを断ち切らなければならない。大補強で戦力が充実する古巣に、4年連続最下位からの脱出を図る新生球団の対立図式にも闘志をかき立てられた。

 試合後のベンチ前。今度はナインを前に、言葉に詰まる指揮官がいた。「ちょっとこみ上げるものがあったね」。心を打たれた初陣の勝利。「点数は120点。いい勝ち方、理想的です」としたが、巨人相手への手応えには「まだまだ。原巨人も控え選手のゾーンに入ってからの逆転劇」と満足はしていない。ただ、決別宣言には「選手を鼓舞するため、チームの先頭に立っていく。ジャイアンツファンに、憎まれる人間になりたい。それが野球界への恩返しになる」と語気を強めた。

 「きょうの1勝を、一生喜びます」と恒例のだじゃれで締めた指揮官。「巨人の中畑清」と決別し「DeNAの中畑清」として、球界を盛り上げていく。

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2012年2月26日のニュース