沢村151キロ出た!体重7キロ増で球質の重さもアップ

[ 2012年2月22日 06:00 ]

<巨・楽>初回、聖沢に対して151キロの直球を投げ込む巨人・沢村

練習試合 巨人5―1楽天

(2月21日 沖縄セルラー)
 スピード違反だ!開幕投手候補の巨人・沢村拓一投手(23)が21日、楽天との練習試合に登板。初回にいきなり、この時期としては異例の最速151キロをマークした。テーマとしていた変化球も要所で交え、2イニングを1安打無失点の好投だ。オフに敢行した筋力トレーニングで体重は7キロ増。ブルペンでは試行錯誤を続ける段階ながら、今季初の対外試合でしっかりと結果も内容も残した。内海、杉内との開幕投手争い。2年目右腕は一歩も引く気はない。

 バックスクリーンの球速表示が出るたびに、球場の熱量が確実に上がっていった。初回、沢村が先頭・聖沢へ投じた4球目が150キロ。さらに6球目だ。「151」。スタンドから「おおっ!」というどよめきと歓声、拍手が起こった。最後は150キロで見逃し三振。顔をゆがめるほどの力投だったが、右腕は興味を示すことなく普段通りに冷静に振り返った。

 「この時期にしては(球速が)出た方だと思う。スピード(を求めるわけ)ではないですが、勝つ中でスピードも出てくればいい。おまけみたいなものです」

 直球は16球を投げ、前に飛ばされたのは牧田の三ゴロだけ。空振り、ファウルが7球だ。試行錯誤の中で迎えたはずの登板だった。新人王を獲得して迎えたオフ。球質の重さを求め、決意の肉体改造に踏み切った。入団1年目に結果を残しながら、あえて大きな変化に挑む。そこには勇気が伴う。「相手も研究してくる。これでいいんだ、ということなどない。諸先輩方に比べたらまだまだですから」。胸に秘めていたのは、現状に満足しない強い向上心だった。

 2時間おき、1日8食の食事やサプリメントを摂取。「食べるというより詰め込んでいます」。90キロだった体重を7キロ増。キャンプイン直後は大きくなった体を操縦しきれなかった。それでも「小さくまとまるのだけは嫌」と新しい自分と向き合った。ブルペン投球を避け、遠投調整で体を大きく使うことを再確認。宿舎でもシャドーピッチングを続けた。迎えた初の対外試合。その効果を圧巻の投球で表した。

 剛だけでなく、柔の姿も披露した。テーマの一つが「変化球を確認したい」。2回には先頭・テレーロの初球に118キロのカーブ。続く岩村の初球にも120キロのカーブを投げた。ともに意表を突く形でバットを出させず「打者を打ち取るには変化球が必要」。150キロ超の直球との30キロ以上の緩急差。さらに140キロ台の高速フォークも駆使する。打者は当然のように牛耳られる。

 「バランスも良かったと思います」。そう評した原監督だが、内海、杉内との開幕投手争いについては「まだまだ横一線」とした。「徐々に(筋肉が)正しい動きを獲得している。完成を“ここ”と決めず、これでもかこれでもかとトレーニングしていきたい」。次回登板は26日のロッテ戦(沖縄セルラー)。キャンプインの際の絵馬には「制圧」と書いた。誰もが認める。大役を務める資格が、この男にも十分にあることを。

 ▼沢村と球速 自己最速は中大4年春の東都リーグ戦・東洋大戦と同年秋・青学大戦で計測した157キロ。神宮球場での大学生最速を記録した。プロ入り後は昨年5月17日の楽天戦(Kスタ宮城)での155キロが最速。昨春キャンプの2月中の最速は、同15日の紅白戦、同24日の韓国・ハンファとの練習試合で記録した149キロ。開幕前の3月15日の2軍紅白戦で151キロをマークしている。

 ▼巨人・長野(4回に2試合連続タイムリーとなる中前適時打)ラッキーです。紅白戦で拓一(沢村)の球を見ているので、例年よりも投手の球を速く感じない。

 ▼中日・筒井正也スコアラー この時期にあれだけ投げていたら問題はない。

 ▼阪神・太田貴スコアラー 体が大きくなって真っすぐがさらに伸びている。順調でしょう。

 ▼巨人・川口投手総合コーチ ブルペンで状態を見てきたけど、実戦ではそこそこ。彼の中で調整して、かつての投球をしている。

 ▼楽天・松井稼(初回に空振り三振)切れがあるし、球の強さがあった。実戦では左打席で初打席だったが、あれだけの投手に立つことができて良かった。

 ▼楽天・テレーロ(2回に中飛)とてもいい投手。今まで日本でああいう投手を見たことがない。

続きを表示

2012年2月22日のニュース