因縁一掃!中畑監督 工藤氏にアドバイザー就任を要請

[ 2012年2月11日 06:00 ]

キャンプ地を訪れた工藤氏(右)と談笑するDeNA・中畑監督

 キヨシ流の歓迎で因縁も吹き飛ばした――。DeNAの中畑清監督(58)が10日、沖縄・宜野湾キャンプを訪問した球団OBの工藤公康氏(48=野球評論家)と固い握手を交わし「アドバイザー」就任を要請した。DeNA発足時の昨年12月上旬、監督最有力候補に挙がりながら破談となった工藤氏を笑顔で出迎え、投手陣への助言も求めた。

 練習開始前の午前9時37分。一塁ベンチ前で報道陣に囲まれていた中畑監督が、取材で訪れた工藤氏の姿を見つけた。「よお!」とばかりに笑顔で肩を叩くと、勢いよく手を差し出した。熱い歓迎ぶりに歴戦の224勝左腕もタジタジだ。あっという間に中畑劇場に巻き込んでしまった。

 「いいコラボでしょ。久しぶりに話題提供できてますな。よう来てくれました」。無数のフラッシュの中、元監督候補とがっちり握手。ぎくしゃくしてもおかしくない微妙な関係にある工藤氏が横浜スタジアム近くに住んでいることを聞くと「じゃあ、年間シートを提供しないとな」と太っ腹発言だ。これで一気に和やかなムードになった。

 工藤氏「いや、ベンチ裏の方がいいです。解説とか記者席の方が見やすいですから」

 中畑監督「ベンチでもOKだよ。アドバイザリースタッフとしてね。(選手に)現役を長~くやるコツを教えてあげて。投手の戦力を救ってよ」

 単なるリップサービスではない。昨季12球団ワーストのチーム防御率3・87だった投手陣の立て直しは今キャンプ最大のテーマ。224勝左腕の経験、技術を注入できれば戦力アップにつながるのは間違いない。同氏は「会話の流れの中で出た話で、いつもの冗談じゃないですか?」とかわしたが「臨時投手コーチ」を買って出てブルペンで牛田を指導。指揮官も「球界の先輩に見てもらえるのは選手にとって励みになる。最近まで現役だった人の話ほど、選手は受け入れやすいし参考になる」と感謝した。

 球団OBに協力を要請するのは自然の流れとはいえ、さまざまなしがらみはあるもの。高田繁GMとは接触がなかった工藤氏だが「ブルペンからは活気が伝わってきました。僕は横浜に住んでいるので何とか強くなってもらいたい。チームを変えてやるという意識を持って取り組んでほしい」と、わだかまりは消えた様子で球場を後にした。負の要素を明るく消し去る。これもまた、キヨシ流のチーム強化策だ。

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2012年2月11日のニュース