ハム大嶋 衝撃一発!野球仕様の“タメ”打法で片りん

[ 2012年2月9日 06:00 ]

紅白戦第1打席の3球目、ファーストスイングでバックスクリーン直撃の“プロ1号”を放った日本ハム・大嶋

紅白戦 紅組4-4白組

(2月8日 名護)
 衝撃のアーチだ。早大ソフトボール部出身の日本ハムのドラフト7位・大嶋匠捕手(21)が8日、キャンプ初の紅白戦に8番・DHで先発出場。3回のプロ初打席でバックスクリーンへ推定130メートルのプロ1号を放った。初の実戦のファーストスイングで豪快アーチの離れ業。フリー打撃でバッテリーを組んだ斎藤佑樹投手(23)も仰天の一発に、栗山英樹監督(50)から監督賞1号が贈られた。

 ファンも、選手も、首脳陣も驚いた。打球は鮮やかな放物線を描きバックスクリーンへ。戸惑い気味の大嶋がダイヤモンドを回っていく。

 「無我夢中で、どのくらいのスピードで走ったらいいのか分からなかった。でも、自分のスイングはできました」

 こんな離れ業、清原も松井もできなかった。プロ初実戦の初打席初スイングで初アーチ。外角低めに2球外れた後の3球目、直球一本に絞り、T―岡田ばりのノーステップ打法で迷わず振り抜いた。「最初のストライクを振ろうと思った」。記念すべき栗山ハム1号は今年の球界1号。「光栄です」と笑った。

 ソフトボール界からプロ野球界へ。打撃面で戸惑ったのがボールとの距離感だった。野球より投球間が4メートル42センチ短いソフトボールでは、バットを最短距離でぶつけるように打つ。だが、野球ではその打法だと力が伝わりきらず、確率も悪く、飛距離も出ない。それが前日の練習では一変。ゆったり構えて「タメ」をつくり、ボールとの距離が取れてバットのヘッドが理想的な軌道を描いていた。「適応力に可能性を感じた」。栗山監督の予感が現実になった。

 2回に福良ヘッドコーチが準備を指示。素振りをしていたら「この感じなら大丈夫」とひらめいたという。「タメ」によってインパクトに力を集中でき、同時にボールも呼び込める。4回は左腕・乾のスライダーを見極めて四球。しかも、追い込まれて88センチのバットを一握り短く持って「ソフトのバットと同じ長さ(86センチ)なら対応できると思った」。フリー打撃でバッテリーを組んだ早大の先輩・斎藤から「何か」をもらい、非凡な打撃センスを見せつけた。

 「みんなが楽しみにしていた打席で打った。何か持っている。獲ったのは間違ってなかった」。栗山監督は監督賞1号の金一封を贈り、きょう9日の紅白戦でも8番・DHでスタメンに決定。帰り際、ファンにサインする大嶋の目に、左の代打が手薄な1軍への道が見えていた。

 ◆大嶋匠(おおしま・たくみ)

 ☆生年月日 1990年(平2)2月14日、群馬県生まれの21歳。1メートル80、95キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 小3から軟式野球を始め、新島学園中でソフトボール転向。新島学園高で1年時にインターハイ、国体優勝。早大進学後は08年にU―19全日本の4番を務め、10年、U―23ワールドシリーズでは優秀選手賞。

 ☆大食漢 大学時代に友人と焼き肉店に出掛け、2人で50人前たいらげた。

 ☆アルバイト 大学1年時に中華料理店「バーミヤン」でチャーハンを調理。

 ☆弟も 弟の翼(新島学園)も昨秋、早大スポーツ科学部スポーツ推薦入試に合格。今春からソフトボール部に在籍する。

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2012年2月9日のニュース